(2001/5/18)

 

「セット・ミー・フリー」 Emporte-moi (Set Me Free)
7/21,18:15

63年のモントリオール、13歳のアナはユダヤ系移民で無名の詩人の父親とカトリッ クの母親、兄と暮らしている。両親は深く愛し合ってはいるが、母親は家計を支えな がら夫の創作活動を手伝う生活に疲れ果て、いさかいが絶えない。複雑な家庭環境か ら逃れるように映画館に通うアナは、ゴダールの「女と男のいる舗道」を見て、アン ナ・カリーナ演じる娼婦の自由奔放な生き方に憧れる。そしてカリーナ似の女性教師 に強く惹かれていく。「愛の瞬間」のレア・プール監督の半自伝的作品。傷つきなが ら成長していく思春期の少女を、映画初主演のカリーヌ・ヴァナスがみずみずしく好 演。「月の瞳」のパスカル・ビュシエールが母親役で出演している点も見逃せない。

協力 カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所

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アンナ・カリーナと「女と男のいる鋪道」

 

「セット・ミー・フリー」 Emporte-moi (Set Me Free)
監督:レア・プール Lea Pool
(1999/Canada,Switzerland,France/35mm/94min)
公式サイト http://www.emporte-moi.com/
お薦めの一言

アナは水に潜り、たゆたい、極限までこらえて浮上する。何度も繰り返されるそれは、 死と再生のシミュレーションのようだ。「死んではいや」と愛する人々に懇願する一 方で、生について彼女が口にする言葉は少ない。それは生をこそ恐れているからだろうか。 死と生が隣り合わせているように、愛憎もまたごく親しい関係にある。二つの感情が渦巻く中で、抱きしめられることを望みつつ、母を抱きしめるアナの姿が鮮烈なまでに脳裏に残る。少女の物語をたどりながら、私達もまた、彼女と同じ世界に生きているのだと感じる。

(満月)

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