introduction
映画祭の今までを振り返ります。
(2001/3/10更新)
 
 

東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は1992年、ゲイ・アート・プロジェクトの有志により産声を上げました。 同性愛を扱った映画やテレビドラマ、書籍などが注目を集め ていた時代でしたが、自分たちの手で自分たちのありのままの姿を表現した映画を上映できる場を作ろうという思いから、この映画祭の歴史は始まったのです。

映作品としては、題材や製作規模、知名度などの点で、日本では商業ルートに乗りにくいイ ンディペンデント映画や短編、ドキュメンタリー、そして日本のレズビアン・ゲイ・ トランスジェンダー・トランスセクシュアルなど、セクシュアル・マイノリティの映像作家の作品に焦点を当ててみたり、その時々の話題作を上映しています。

jeffrey本国内でのプレミア上映として、アメリカのインディペンデント映画をリードするグレッグ・アラキ監督の 「トータリー・ファックト・アップ」(第4回)、レズビア ン映画界のゴッド・マザーであるバーバラ・ ハマーが隠蔽された同性愛の歴史を力強く描きだした「ナイトレイト・キス」(ベルリン映画祭銀熊賞受賞)、ブロードウェイの大ヒット劇の映画化である「ジェフリー」、NYで行われるドラァグ・クィーンのお祭りを捉えたドキュメンタリー「ウィッグ・ストック」、アカデミー賞短編賞を受賞した「トレヴァー」(以上第5回)、LAのハスラーの姿をセクシーに描いた「 ハスラー・ホワイト」、watermelon woman昔の女優の姿を追ったユニークな「ウォーターメロン・ウー マン」、ジニー賞(カナダのアカデミー賞)作品賞を受賞した「百合の伝説」、イギリスに住む思春期のゲイの姿を繊細に描いた「とても素敵なこと〜初恋のフェアリーテール〜」(サン・パウロ映画祭国際審査員賞受賞)(以上第6回)、オペラへの愛情を綴った「愛の破片」、中国映画としては初めて同性愛を主題にした「東宮西宮」 、レズビアンの少女時代を理知的に綴った「ハイド・ アンド・シーク」(以上第7回 )、日本のクィア映画を代表する鬼才head on、大木裕之の「心の中」、アメリカのレズビアン映像作家、セディ・ベニングの「フラット・イズ・ビューティフル」「ジュディ・ スポット」、カナダ・クイア映画界の異端児ブルース・ラ・ブルースの「スキン・フリック」(以上第8回)、ドラァグ・クイーン・ミュージカルの「踊るのよ、フランチェスカ!」、多くの賞を受賞したオーストラリア映画「ヘッド・オン!」、イギリスで放映されるや一大センセーションを巻き起こしたTVドラマ「モダン・ラブ」(以 上第9回)などが挙げられます。

た将来性のある若手映画監督の作品を上映することも多いので、若い才能のショーケースとしての役割も兼ね備えています。ジョン・ハート、ジェイソン・プリーストリー主演の「ラブ&デス」を撮ったリチャード・クウィートニオスキー監督の「ディナーへようこそ」、前述の「ウォーターメロン・ウーマン」の監督シェリル・ドゥニ エの「彼女は止まらない」、そして自伝的なドキュメンタリー「大阪ストーリー」が 内外から絶賛された中田統一監督の「ミノルと私」、日本映画学校の卒業father-less制作である 「ファーザーレス−父なき時代−」(マンハイム ・ハイデルベルグ国際映画祭国際批評家連盟賞&ドキュメンタリー部門グランプリ受賞、ニューヨーク大学国際学生映画祭特別 賞受賞)、アンドレ・テシネ監督の「野性の葦」に主演したガエル・モエルが、共演者であったエロディ・ブシェーズやステファン・リドーを起用して監督した 「フル・スピード」(ちなみにブシェーズは1998 年のカンヌ映画祭で『天使がみた夢』で最優秀女優賞を受賞しています)、グレノーブル映画祭を始め多くの映画祭で 受賞するなど、一躍フランス映画界の寵児となったフランソワ・オゾン監督の「サマー・ドレス」などが挙げられます。

地域や国にスポットを当てて、主に日本未公開の作品を上映し、知られざる豊かなクイア文化を紹介した企画も好評で、前述の「ブリティッシュ・ゲイ・TV」(第7回 )、「スペイン・レトロスペクティブ」(第8回)と「香港エクスプレス」(第8・9 回)、「カナダ特集」(第9回)などが挙げられ、またその上映の際には各国の在日大使館及び文化機関からも多大な支援を頂いております。

性愛を主題とした映画を上映するだけではなく、上映作品に因んだディスカッションなども企画行っています。「二十歳の微熱」や「渚のシンドバット」などで知られる橋口亮輔監督をお招きしてレズビアンとゲイとの映像表現について(第3回)や、 「そんなのかんたん!−アメリカ小学校同性愛教育の現場−」 の上映に伴い、husler white「同性愛嫌悪に汚染されていない子供たち?」と称し、同性愛についての教育を学校の現場ではどのような取り組みをなされようとしているのかを教育の最前線で活躍している方々をお招きしたり、「トランスセクシュアルからの挑戦」の上映に伴い埼玉 医科大学総合医療センター形成外科の原科孝雄さんによる性転換手術に関するレクチャー (以上第6回)、「ブリティッシュ・ゲイ・TV」というイギリスのTV局が制作した同性愛を主題とした番組の特集上映に伴い、イギリスのTVディレクターであるクリス・ クラークさんと日本のTVディレクターである高橋直治さんによる両国のTVにおける同性愛表現の違いのディスカッション(第7回)など様々な主題を基に話し合いの場を 設け、単なる映画上映を超えた意見の交換の場としても評価を受けています。

場ゲストとして、「ハスラー・ホワイト」の監督ブルース・ラ・ブルース&リック ・カストロと主演俳優トニー・ウォード、「ウォーターメロン・ウーマン」の監督シェリル・デュニエ、「ハイド・アンド・シーク」の監督スー・フレドリック、レズビアン短編集「骨がビリビリ」のキュレーター、シャーリー・フリロ、ゲイ短編集「フォー・シーズンズ」のキュレーター、エリック・シュリプ、bishonen no koi「美少年の恋」の監督ヨン・ファン(楊凡)と主演のダニエル・ウー(呉彦祖)、「黄色微熱」の監督で、香港レズビアン&ゲイ映画祭のキュレーターであるレイモンド・ヤン(楊至偉)などが挙げられます 。直接、映画の作り手と触れあう場の貴重な場として、 観客から熱心な質問や上映後にロビーなどで感想を述べる光景などを目にすることができます。 またスパイラルホールに会場を移してからは、スポンサーの方々の寛大な支援により 、観客に無料でドリンクをサービスするバーも設置し、上映前後に賑わいを見せ、好評ですし、映画祭公式のイベントとして 「Le Grand Bal」というパーティを開き、 レズビアンやゲイ、ストレートといったセクシュアリティの枠を超えて楽しめる場として評価を高めつつあります。  

今後も当映画祭は、国内外の様々なクィア文化の発信地として、さらなる充実をはか るつもりです。御期待ください。

 
   
映画祭上映作品監督インタビュー go!!!

 

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