<第1回:事務局の代表を決めよう!>
映画作りに監督が欠かせないように、映画祭にも監督(=ディレクター)が必要!
というわけで、このコーナーの記念すべき第1回目は、「第10回東京国際L&G映画祭運営委員会代表」(←な、長い)の山平宙音(やまひらそらね)さんのお話から。
そもそもは二年前に観客の一人として映画祭に参加し、「なんかやりたい!」とスタッフに頼んだことから映画祭に携るようになったという山平さん。代表になった経緯は「残ったメンバーの中で、
私が一番時間がありそうだったから(笑)」だそうですが、ただ時間があるだけでは代表は務まらないと思わせるのが、「映画祭は文字通
りフェスティバル。単に商品として映画を上映するだけでなく、お客さんにとってもスタッフにとっても、関わる全ての人にとっての出会い、感動、喜びがあるような場所にしたい」という彼女の言葉。自分が代表であることを実感するのは
「名刺を渡す時。(代表、って書いてある)。いつもは雑用ばかりなので、使いっぱしりのようだが、『ああ、そういえば代表なんだあ』って」とのこと。そう言えば、私が初めてボランティア・ミーテ
ィングに参加したとき、待ち合わせの駅から一緒に事務局に行く途中、山平さんはその日のミーティングのレジュメをコンビニでコピーしてたっけ
…(←遠い目)。その意味で、「映画」祭の代表(ディレクター)だからと言ってディレクターズチェアにどっしり腰を下ろしているわけでも、映画「祭」だからと言ってお神輿の上に乗って「ワッショイ、ワッショイ」とかけ声をかけているわけでもなく、コピー取りから実務の最終的な判断まで、映画祭作りのありとあらゆるプロセスの当事者になるということが「代表になる」ということなのかもしれません。
山平さんから名刺をもらったときに私が思ったこと――「<宙音>、宇宙の音、きゃ〜、なんてロマンチックな名前なのぉ〜(しかも本名!)」。そう言えば、星を符号化して星座を一つのメロディにするというのを聞いたことがあります。一つ一つの星はバラバラに存在しているけれど、それを線でつなぐとまとまって一つの図柄を描く星座――その星座の奏でるメロディが不協和音にならないように調整し指揮していくということ。それはちょうど、さまざまなスタッフの個性やアイデアを生かしつつ、映画祭という一つの目標を成し遂げよ
うとする代表の仕事に重なるような、そんな気がします。
(井上 澄)
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