第1話
良いですね。この作品。おすすめです。…と、これで終わらすとスタッフの方に怒られそうなので、もうちょっと真面
目に。
3話のオムニバスの中で一番好きなのは1話目。ストーリーももちろんだけど、ヴァネッサ・レッドグレイヴがとにかく素晴らしい。ちょっとおとぼけなアビー(註:レ
ッドグレイヴ扮する老女のパートナー)を優しく見つめる目、「親族ではない」というだけで起こる理不尽な状況においてのとまどい、そして大きすぎる悲しみ。見ているだけでアビーをどれだけ愛して、大事に思っていたか、痛いほど伝わってくる。特
に「長年の友人」「親友」だとウソをつかなければならない時に見せる、それをいつもいつも繰り返してきた、というせつなさとあきらめを背負った表情はすごい。これは私が出演者の中でヴァネッサが一番好みである、という事実を差し引いても絶対的に注目すべき点。プラス脇役達のリアルさが良い。みんな決して悪役ではなくて、いわゆる「普通
」「あたりまえ」の動き、反応をする。だからこそリアルでチクッと痛
い。
あ、一番好きな話だけに字数オーバー。ということで、2話目3話目は手短に。2話目は一番親近感を覚えた作品。リアルさは1話目同様、かなりの線。ダイク・バーの
客とかエッチシーンとかね。クロエ・セヴィニーのタッちゃんぶり、最高。最近スタ
イル重視のオシャレ系族のおかげで肩身の狭い思いをしているタッちゃんへ捧ぐ。きっとこれを見れば涙、涙でしょう(そうか?)。しかし、ユマ・サーマンもすっかり業界色が薄くなり、さみしさを感じていた今、クロエ・セヴィニーの出現は光だ。
3話目、シャロン・ストーンのスターパワー炸裂。登場シーンからオーラを放つ。さすが。リアルさは一番低いが。でも、そのパワーのおかげであっという間にビデオ化
決定、な訳だから感謝。そのシャロンとのエッチシーン、エレンがちっとだけうらや
ましい。
どの年代、どのテーマの話も共感することばかり。歳も国籍も関係なく、私達の悩みは共通
なのね…と、思わずしみじみしてしまう作品です。でもそう思わせてくれる作
品が作られた、ってことは本当にすごいこと。その他、細かい動きのおもしろさやビ
デオパッケージについてなど、語りたいことは山程あるが、きっとスタッフの人に怒
られるのでこの辺で。
(iri)第9回映画祭「JAPANESE QUEER VIDEOS」にて、監督作品「chocolate」(2000)を上映
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