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「目覚めたのは25歳だ」>シネマデータ
writtenby川波歩
この映画の主人公デニスは、ナント25歳でゲイに目覚めたそうだ。私は25歳だし、一応ノンケなんだけど、ちょっとドキドキしちゃうね。

この映画の感じを簡単に説明すると、ちょっと幸(サチ)薄いけども、でも仲間もいて一生懸命そこそこハッピーに生きてる現代アメリカの若ゲイ青春群像。「ビバリーヒルズ青春白書」の登場人物をみんなオトコにして、エピソードもちょっと軽め(まぁ95分モノだから)にしたやつを良い具合に盛りつけたって感じ。どんなオトコの子も全方位対応でかるーく楽しめそうなので、デートにはオススメだね。それも割と甘酸っぱくてピュアないい感じを残すので、見た後の2人の距離もぐっと縮まりそう。

デニスがパーティーで出会ったガチムチ系とベッドインっていう時に、カーペンターズが好きかどうかで合わなくて、すっかりヤル気をなくしてしまうっていうシーンがあるんだ。「僕と寝ることしか考えない人とはセックス以外のことがしたいんだ。好きな音楽の話とか。」とデニス。これを聞いて「セックスは簡単に手に入るんだけど、俺は“恋愛”がしたいの! わかる?」と会うたびに訴えていたオトコの子のことを思い出した。ノンケには考えられない悩みだね。最近私は、恋愛なんていうお飾りみたいな余計な段取りはすっ飛ばしてセックスだけを純粋に楽しみたいと思うんだけど、ノンケのセックス・マーケットっていうのは基本的には女性の売り手市場なので、なかなかそうはいかない。ま、男は金払えってことになっちゃうし。こないだのクリスマス・イヴ、麻布十番のクラブLunersでは、男¥3500、女フリーっていうパーティーをやってたよ。おいおい。

その点ゲイやビアンだと、恋愛市場で2集団に分割されるっていう現象が起こらないのでおもしろいなって思う。この映画でも、金髪なのに眉毛が黒いベンジくんが昔を思い出して「(男だらけのパーティーに)初めて来て、部屋中の男に“可能性”を感じた」って言っている。ノンケのねるとんは男女に分かれざるを得ないけど、ゲイのねるとんってとりあえず全員、番号札を首から下げさせられるもんね。だってノンケの世界だと男を取り合う三角関係では、女同士は敵以外の何ものでもないけど、男3人の三角関係だと取り合っているライバル同士の関係だって物理的にはあり得るわけでしょう? ノンケとビアン・ゲイとでは、恋愛の組み合わせにおける論理学が違うんだなーって。 そういえば友達のビアンの人が、ゲイの男の子と一緒にコインランドリーに行った時に「ブラジャーを洗濯機に入れるのを見られてちょっと恥ずかしかった」って言ってた。ノンケの世界では異性に下着を見られるって恥ずかしいけど、ビアンの人もやっぱり異性(しかもゲイ)に下着を見られると恥ずかしいのか、と思ったり。その辺は性的対象と関係のない部分があるんだなぁ、と余計な思索が巡りました。

さて映画に戻ると、なにぶん登場人物たちのゲイ歴が軒並み短いので、エピソードもちょっと初々しい感じが多いかな。酸いも甘いも噛み分けたお姐さま方にはちょっと物足りないかも。レズビアン・カップルへの精子提供のエピソードも、どうも目新しさに欠けるし、いまいちヒネリが効いてない優等生映画というキライがどうしてもね…。

でも家族へのカミングアウトなんていう王道っぽいテーマも、もちろん盛り込んであるし、ノンケの人たちが同性愛とゲイカルチャーについてのお勉強のために観るのにも悪くない映画だと思うな。「モーリス」とか「アナザー・カントリー」なんか観てカンチガイしちゃうよりも、よっぽどリアルな感じだしね。良くも悪くも「やや初心者向け」って感じかな。うん、観た後ホントに“いい映画だ”って思ったんだよ。第9回の映画祭で上映した「トリック」なんかもこれに似たテイストで、こういう等身大のゲイとして感情移入して楽しめそうな作品が続々と出てくるのは、すごくいいことだと思う。

でも正直言うと“もっとドロドロしたのが好き”って思っちゃう部分もちょっとあるかな。「昔の男」とか「恋を何年休んでますか」とか毎週欠かさず涙しながら見て“不倫ドラマさいこー!!”って思っちゃう私は。 ちょっとしつこさが足りないんだよね〜。チョイ笑い、チョイ涙、チョイ感動で、サラサラッ、パッっと終わっちゃう、クリトリス・オルガズムみたいなものだから。ほら、膣オルガズムはもっと深くてガツーンと来るって言うでしょう?(ごめん,話題がノンケで) “これでもか!ひぃーーー!”みたいな、“うーん、あんたスゲェや、まいったよ”みたいな、そういうこってりした作品があったら、必ずすごい勢いで連絡ください。

ノンケの視点で勝手なことばっか書いたけど、ゲイだったらもっと、この映画の細かいささいな部分に深く感動できるのかも。なにしろ幼稚園の頃からすごい女好きだったから。片想いばっかりだったけどね。ブロークン・ハーツ・クラブに入らなきゃかも。でもまぁ、主人公のデニスも25歳でゲイに目覚めたって言うし、人生、先はわからないからね。デニスの顔は、どっちかっていうとけっこう好みかも…。
(2002/01/01up)
川波 歩 e-mail ayaya0402@hotmail.com
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