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20世紀フォックスジャパンより、アカデミー賞受賞作
「アニ−・ホール」を含む、 初期作品6本が初DVD化。好評発売中。


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「ウディ・アレンとセクシュアル・マイノリティの微妙な関係」
written by david
「もし生まれかわったら、ウォーレン・ベイティの小指になりたい」
有名なアカデミー賞監督の口から出たこの一言ギャグは、ウディ・アレンのキャラクター・イメージをよく表している。ナタリ−・ウッドからマドンナまで、世界中の美女をモノにしてきたハリウッド一のプレイボーイ、ベイティと、彼以上に女好きなのに、チビでメガネでハゲでいつもおどおどしているアレン。男らしさに憧れるものの、美女に囲まれるベイティは遠い存在。せめて彼の小指になりたいというエロさとせこさが、彼のコメディアンとしてのおかしさであり、世界中の映画ファンから愛される所以である。

映画監督としてのアレンは、アカデミー賞脚本賞ノミネート13回という記録を持つ鬼才であり、ジョディ・フォスターやジュリア・ロバーツ、レオナルド・ディカプリオ、シャーリーズ・セロンといったハリウッドスターが、ギャラを削ってまで出演したがるモテモテぶり。私生活では、パートナーであった女優ミア・ファローの養女と結婚するというスキャンダラスな存在である。

彼の作品の一貫としたテーマはセックス。そのため、台詞の中には、セクシュアル・マイノリティの話題が頻繁に登場する。

「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」(1972)は、セックスネタを集めたオムニバス映画。その中に「女装はホモセクシュアルか」というエピソードがある。娘婿の両親の家に招待を受けた夫妻。夫は女装癖が我慢できず、寝室に忍び込み女装をはじめるが、みんなにばれてしまう。妻は「私達は夫婦よ。何で私に言ってくれなかったの」と夫の性癖に理解を示すが、会話は「明日、病院に行きましょう」で締められる。

「スリーパー」(1973)は、冷凍保存されていた男(アレン)が200年後の管理社会で活躍するSFコメディで、大ヒットした「オースティン・パワーズ」の元ネタとして知られている。逃亡中のアレンとダイアン・キートンが、途中でゲイカップルの家に立ち寄るというエピソードがあるが、注目したいのは、捕らえられたアレンが、管理社会に適応するようにマインドコントロールされる場面だ。そのマインドコントロールというのが、何故かミスコンで、ミス・アラバマ代表(!)に扮したアレンが優勝して涙するというプログラム。また、救出後、洗脳を解くシーンでは、唐突に「欲望という名の電車」のラストシーンが演じられる。スタンレー(映画版はマ−ロン・ブランド)を演じるのはキートンであり、当然、ブランチ(映画版ではヴィヴィアン・リ−)を演じるのがアレンだ。ジェンダーのあべこべ遊びといった感じだが、セックスも機械化された管理社会だから、洗脳は去勢されるようなものなのか。

こうしてみると、ウディ・アレンは、セクシュアル・マイノリティに対する視点はずれているんじゃないかと思われるかもしれないが、筆者が注目する点はそこである。アレンは1935年生まれの60代後半のお爺さん。多少は、古い考えを持っているのも事実だろう。彼は、年に一本、コンスタントに作品を発表することで知られており、ヘレン・ハント、シャーリーズ・セロンと共演する最新作「The Curse of the JadeScorpion」(2001/日本公開は今秋予定)は、ついに監督32作目。多作であることが、アメリカ男性のマッチョな考え方と、その社会と時代の移り変わりを、作品に反映させているのだ。

例えば、代表作「マンハッタン」(1979)は、仕事を辞め、小説家を目指す男(アレン)の女性遍歴を描いた作品。主人公の別れた妻(メリル・ストリ−プ)は、女性と暮らしており、彼との生活を綴った暴露本を出版。妻が何故、女に走ったか、全く理解できないアレンは、妻のパートナーを車でひき殺そうとするが、未遂に終わるというギャグがある。ウーマンリブ後の自立する女性を皮肉った一面もあるエピソードだ。

一方、20年後の「セレブリティ」(1998)は、仕事を辞め、成り上がりを目指す作家志望の男の女性遍歴を描いた群像劇で、「マンハッタン」と設定がほとんど同じことに驚かされる。ケネス・ブラナー扮する主人公は、スーパーモデル(シャーリーズ・セロン)とエッチができそうで、鼻の下が伸びっぱなし。そのモデルがクラブパーティで女性と絡み出し、バイセクシュアルであることがわかっても、さらに鼻の下を伸ばすだけである。

また「ハンナとその姉妹」(1986)では「私の通ってる歯医者じゃホモセクシュアルの患者が多いの。先生たちは、エイズを怖がってるわ」という台詞が登場する。まだ、エイズ=ゲイのガンと言われていた80年代半ばから、90年代以降、エイズの蔓延と共に、その認識も変わってきた。「ハンナ」から10年後の「誘惑のアフロディーテ」(1995)では、ミラ・ソルヴィーノ演じるヒロインに、アレンが娼婦をやめるよう「(他の仕事なら)エイズの心配もない」と説得する。エイズとセクシュアル・マイノリティを切り離すのに、少なからず、時間がかかったことはわかる。
アレンが、偏見だらけの映画監督といいたいのではない。偏見と言うよりは、マイノリティというデリケートな話題も笑い飛ばせるコメディ作家の強みなのだと思う。

「ラジオデイズ」(1987)は、アレンの子供時代をモデルにしたノスタルジックな群像劇。主人公の叔母ビーは男運が悪く、何度もお見合いするが失敗ばかり。ようやく眼鏡に叶ったハンサムな男性は、ラジオから流れるある曲を聴いた時、自分がゲイであることを告白し、死んだパートナーのことを思い出して泣き出してしまう。最初は戸惑うビーだが、優しく彼を慰める。
セクシュアル・マイノリティを扱った僕のお気に入りのエピソードだ。
(2002/02/25up)
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■ウディ・アレンIMDb■
http://us.imdb.com/Name?
Allen,+Woody
 
「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」(1972)
DVD発売:20世紀フォックスジャパン

「スリーパー」(1973)
DVD発売:20世紀フォックスジャパン

「マンハッタン」(1979)
配給:日本へラルド映画
DVD発売:20世紀フォックスジャパン

「ハンナとその姉妹」(1986)
「ラジオデイズ」(1987)
DVD発売:カルチュア・パブリッシャーズ

「誘惑のアフロディーテ」(1995)
配給:松竹株式会社
ビデオ発売:アミューズソフト

「セレブリティ」(1998)
配給・DVD発売:松竹株式会社

「The Curse of the Jade Scorpion」
(2001)
今秋公開予定


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