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夜の子供たち(1996)
Les Voleurs
監督:アンドレ・テシネ
出演:カトリーヌ・ドヌ−ヴ
ダニエル・オットゥイユ
ロランス・コート
配給・ビデオ発売:コムストック
IMDb data

http://us.imdb.com/Title?0118100

 
アンドレ・テシネの世界(2) 「夜の子供たち」
written by Y.I.
 ジャスティンは、代々「泥棒」を生業とする一家の血を継ぐ十歳の少年。ある晩、彼は、母親の悲痛な叫び声で目を覚ます。父親のイヴァンが交通事故で亡くなったのだ。しかし、ジャスティンは、その死に疑問を抱く。父親は本当に交通事故で亡くなったのだろうか?それとも…。

 お葬式にやってきたイヴァンの弟アレックス。彼は、「泥棒」一家に生まれながら、刑事という職業を選んだ、一家にとっては「裏切り者」である。結果、甥ジャスティンの運命を不憫に思いつつも、当のジャスティンからは「敵」扱いされ、信頼を得られないでいる。そして、アレックスと一緒にやってきた不思議な女性、ジュリエット。彼女は万引きの常習犯で、かつてアレックスに逮捕された経験もある。だが、再会をきっかけに、彼と「自虐的な」性的関係を持つようになる。

 アレックスとジュリエットの登場によって、物語は広がりを見せ始める。ジュリエットの兄ジミー。彼はイヴァンの手下として車泥棒をしているが、以前アレックスに逮捕され、刑務所行きになった過去がある。妹とは深い絆で結ばれており、彼女には犯罪の道に足を踏み入れてほしくないと望んでいる。そして、ジュリエットの最愛の女性マリー。彼女は、アレックスに嫉妬し、ライバル心を抱きつつも、ジュリエットの失踪によって、自らと同じように傷付くアレックスを見て、共感を覚えるようになる。かなり「ごった煮」的なストーリー展開ではあるが、これらさまざまな人物の生を通して、イヴァンの死の真相が徐々に明かされていく。

 これだけだと、「なーんだ、よくあるサスペンス映画ね」と思われるかもしれない。しかし、この作品は、単なるサスペンス映画ではない、と言っておきたい。本作品のおもしろさは、なぜイヴァンが殺されたのかについて、謎解きをすることにあるのではない。むしろ、私たちの生において、「親密な関係」というものが実に多様でかつ複雑な形をとって表れる様子を描いているところに本作品のおもしろさがある。
「親密な関係」は、「異性愛」「同性愛」「きょうだい愛」「家族愛」といったさまざまな「愛」の形として表現される。しかし、どのような「親密な関係」も、ひとつの「愛」の形を突き抜けていく「過剰さ」を持っているのではないだろうか。本作品が描いているのは、「親密な関係」がすでに常にはらんでしまう「過剰さ」である。

 個人的には、ジュリエット(ローランス・コート)とマリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)のレズビアンチックな入浴シーンよりも、十歳の少年ジャスティン(ジュリアン・リヴィエール)の存在が印象的でした。この少年、どこかで見たことがあると思ったら、『ぼくのバラ色の人生』で、主人公リュドヴィックが恋する少年ジェロームの役を演じていたんですね。「泥棒」一家の血を引く少年という役柄によるところも大きいかもしれませんが、ベテラン俳優たちをくってしまうほどの存在感。一見の価値アリです。


(2002/06/23up)
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