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吉行由実監督
公式ホームページ 「Boo」
http://itcg.itss.or.jp/~boo/
■「浮気なぼくら」■
 
監督 吉行由実
「浮気なぼくら」データ
 
●クィア探検隊<第1回>
 「ユミコ、上野世界傑作劇場へ行く」
written by ユミコ
11月27日12時30分上野駅。私は待ち合わせ時間よりずいぶん早く駅に着いた。普段は電車の中で今日の遅刻の理由を一所懸命に考えている私が、である。

友達がまだ来てないことにプチ切れしつつ、私はこれから向かう映画館のことを考えた。上野世界傑作劇場。ゲイ映画専門の映画館である。上野のほか大宮・横浜などにもある。大抵60分映画の二本立て。最近の映画で二本立てなんて、夏の子供向けアニメくらいじゃないか。なんだか得した気分になった。今日は昨年映画祭で上映された「僕は恋に夢中」の吉行由実監督の新作「浮気なぼくら」を観にはるばる上野までやってきたのである。

本日の同行者I君は5分ほど遅れてやってきた。彼は今まさに食べ頃な青年だ。彼も傑作劇場は初めてだという。心なしか緊張しているように見える。私たちは劇場の場所をだいたい把握していた。実は前日に劇場に電話して、教えてもらっていたのだ。電話に出たおばちゃんは一通りの説明をした後に「もしわからなくなったら、近くの交番で聞いて!」といった。

一本路地を入るのだが、さほどわかりにくくはない。通りに面したところに、ノンケのポルノ映画館、上野大蔵があるのですぐわかる。そこの映画館の角を曲がればよい。上野大蔵の方も2本立てで、こちらは看板に大きく「毎日オールナイト」なんて書いてある強者だ。

さて、上野傑作劇場に着いた。(平日の昼間だけど、人いるのかなぁ。でもこんなときに来る人こそディープよね)と期待に胸を膨らませつつ(Gカップぐらいにはなっていたかも!)劇場の階段を上る。チケットは自動販売機で買うシステムになっている。そのすぐそばに入り口があって、おばちゃんが券をもぎってくれる。いかにも“初体験”風の私たちをおばちゃんはじっと見守っている。大人一人1500円。学割もある。私の友達は大学の研究生なので「自分も一応学生かな・・・」などと話していると、すかさず「テキトーでいいわよ!」とおばちゃんの声。さらに、販売機のどこにお金を入れるのかわからなくて、あいているところにねじ込もうとしている爺さんに、「もうちょっと下の穴! 違うもっと下の穴!!」なんてすごいアドバイスをしているのである。

入場してまずびっくり。廊下が青くライトアップされていて何ともなまめかしい感じ! 細い廊下を通り抜けると突き当たりに今度は赤いライトのついた小部屋がある。中が暗くてよく見えないが、何人かいるようだ。わたしたちのように連れ立ってくる人はほとんどいなくて、みんなひとりで来ている(そりゃー、出会うために来ているんだから、当たり前だよね)。小部屋から出てきた男は、私の友達を舐めるように見た後、また奥へ消えていった。人は結構いるのにすごく静か。この雰囲気は何に似ているだろう。普段の映画館のように自分の世界に没頭して、周りのことを気にしない、あの静けさではない。エレベータにたくさんの人と乗り合わせて、他人と体が密着したまま黙っている、あの緊張感に似ている。

2本立ての映画は朝からひたすら交互に上映されている。前の映画が終わり、私たちは席に着いた。座席数は70ぐらいか。私たちは後ろから3列目ぐらいに陣取った。映画が始まった。「浮気なぼくら」はタイトル通り彼氏の浮気をテーマにした作品。吉行監督の作品はいつも男の子がかわいいなーと思いつつ映画に没頭していった。浮気をしているのに全然じめじめした感じとか、隠してる感じがなくて、あっけらかんとしている。つきあっていても、誰かと遊びたいっていうのは、ごく自然なことなんじゃないかな、とさえ思えてきた。彼氏の浮気にムカついて、自分も夜の新宿に浮気しに行く主人公はどれも危なっかしいが、見ていてほほえましい。

さて、映画を観ている時は自分の鞄が床に落ちても気づかない私だが、今回ばかりは違った! 映画を観ている間中、人が出たり入ったり。しかもスクリーンの前を平気で横切る。どーなの、これは!? 入ったら入ったで、今度は横にいる人を見つめていたり、席替えしたり、席が空いているのになぜか立ち見続出。何しろ出会いがかかっているのだから、真剣そのもの。気がつくと平日の昼間だというのに、後ろの席は満席。自分の好みの人を捜すには、後ろの席の方が全体を見渡せて有利だものね。でも誰も私のことは気にしない。お客は私と、女装かもしれないゴツイ女をのぞいてあとはすべて男。営業のサラリーマン風の人、競馬場にいそうなおじさん、ここに住み着いているかのごとくあまりに普段着(むしろ家着)なひと。私はまるで自分の家にいるような気分だった。女の子が行くようなところじゃないって聞いてたけど、全然余裕! これからは一人でも行けるでしょう。ただしトイレだけは済ませていってね。劇場には女性用トイレがないから!!

映画がクライマックスになるとさすがにみんな座って観ている。実はちゃんと映画も観てるじゃん、と驚いた。私だったら好みの人を捜しながら映画も観るなんて、とてもできそうにない。上映が終わるとまたみんな廊下に出ていった。上映が終わって、すっきりした私と、私のすぐそばに座っている満足した表情のオヤジ。誰かいい人捕まえたのかしら。映画はやっぱり、映画館で観るに限るね!! 
(2002/01/01up)
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