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●クィア探検隊<第2回>「VOICE2001」
 「ようこのポジティヴ☆VOICE」
written by ようこ
『VOICE』は、HIVの予防啓発や感染者の支援などの活動を行うボランティア団体『ぷれいす東京』が主催し、世界エイズ・デーにあわせて毎年12月に開催されているイベントです。ゲイを中心とする8組のパフォーマンスが2時間半にわたって繰り広げられ、単なるHIV感染予防の啓発活動としてだけでなく、ゲイ・コミュニティを活性化する一大イベントとなりつつあります。

2001年の11月から約1ヶ月間、僕も微力ながらVOICEボランティアスタッフとして、裏方としてお手伝いをさせてもらいました。

「なんでアンタ、いきなりそんなコトやってんの?」

実は、この1ヶ月の間に、よくこんなことを訊かれました。それまでのようにカネやバカ騒ぎやオトコのためではなく、ボランティアという“無償”の活動をしている。それは、以前から僕を知っている友達にとっては、ある種のギャップとして受け取められたようです。中には「アンタがエイズだからでしょ」なんてことを笑いながら言う友達もいましたっけ・・・。でも僕は「それは差別だ!」とか、「なんて心ない一言だろう」とは思いません。それは、ちょっと前までの自分の姿であって、彼らもただ、HIVと無縁だっただけだからです。

もっとも、今だからそう思えるのかも知れません。イベントが無事に終わった後、募金集めやアンケート回収をしながら、ご来場頂いたお客様のお見送りをしていたら、来てくれていた友達や顔見知りが結構いたことに気づきました。腰くらいの高さで手を振り、「なんだぁ、来てたんだ〜」なんて挨拶をしながらも、彼らは「なんでアンタ、こんなコトやってんの?」なんて訊くことはありません。ただ「ショーがたくさん見られて、面白いらしい」という口コミでこのイベントに来た彼らが、イベントを通して、僕らと同じ方向を見てくれるようになったのだとしたら、それだけでも僕にとって、このボランティアに参加したことは“無償”ではなかったと言えるような気がします。

さて、会場の後片付けをしたあとは、出演者・スタッフ入り混じり100人近いゲイの皆さんが居酒屋を占拠して打ち上げパーティ!(こわいこわい)そこで、トークショーに出演していただいた長谷川さんと、たまたま同席しました。
トークショーでは、事前に集めたアンケートの結果について取り上げたのですが、「自分の周りで、HIV感染者の知り合いが何人いるか?」という質問に対し、回答では平均3.4人・・・。この数字について長谷川さんが「隔世の感があるねぇ」と、しみじみおっしゃっていました。そして、最近になって医療が進歩し、服薬によって発症を抑えられるようになったことに触れ、長谷川さんが「ちょうど、新薬ができる直前くらいに周りでバタバタと倒れていったんだよ」と悔しそうでした。
そのとき、僕はハッとしてしまいました。
「僕らは、彼らが作った道の上を我が物顔で歩いてるだけなんだ」と。そして同時に、「だったら、僕らの仕事はその道をもっと歩きやすくすることなんじゃないか」とも思いました。

そんな長谷川さんは、HIV感染者であることを公表してボランティア活動をされてきた方の一人です。きっと、長谷川さん感染した当時、HIV感染者というのは、世間では腫れ物に触るようにして扱われていたのでしょう。「キモチワルイ」「近寄らないで!」・・・。それは、かつて同性愛者がそう扱われたように。

ゲイのカップルは、基本的には子供ができません。
そしてHIV感染者は、ナマでセックスはできません。
ゲイのカップルは、愛し合うことはできます。
HIV感染者も、愛し合うことはできます。

HIVは、寿命だけでなく、愛するチカラや愛される自信を奪うという側面があります。それが寂しくて、感染しているのを承知でハッテン場に行く人がいるのも事実です。

ところで、余談になりますが、この事前アンケートでは「このイベントをどこで知りましたか?」という質問がありました。寒い中、新宿二丁目の仲通り交差点で、フライヤー配りに励んだ僕としては、回答欄の「路上配布」にマルがしてあるのを見て、またまた嬉しくなっちゃいました。
社会人になって4年間、会社で仕事をしてきたけど、こういう喜びは、一度も感じたことがなかった気がします。 
(2002/04/04up)
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