「セット・ミー・フリー」関連コラム
アンナ・カリーナと「女と男のいる鋪道」 
(2001/7/1)

アンナ・カリーナは、フランス、ヌーヴェル・ヴァーグを象徴する女優の1人。ジャン=リュック・ゴダール映画のミューズとして、ミュージカル風コメディ「女は女である」、SF映画「アルファヴィル」、今年日本で初公開となった「はなればなれに」 を含む8本の映画に出演し、「気狂いピエロ」で映画史に永遠に名を刻んだ。

「女と男のいる鋪道」はベネチア映画祭審査員特別賞を受賞した秀作。カリーナは、 孤独なヒロイン、ナナを演じる。レコード屋の店員ナナは、夫と別れ、家賃を払うことができず、娼婦に身を落とすが、キャングの抗争に巻き込まれ、射殺される。「裁かるるジャンヌ」を観たヒロインが涙するシーンは、あまりにも有名である。

セット・ミー・フリー」の主人公アナは、「女と男のいる鋪道」の娼婦ナナの自由と責任を持った生き方に憧れる。ジュークボックスの音楽にあわせて、カリーナが踊る場面 を、アナがいきいきした笑顔を見せながら、真似て踊るシーンは忘れられない (音楽は「シェルブールの雨傘」のミシェル・ルグラン。数年前、日本の自動車会社のCMでも、そのまま再現された名場面 !)。 このように「セット・ミー・フリー」には、「男と女のいる鋪道」を意識したシーン が数多くみられ、両作品を見比べてみるのも面白い。

カリーナのその他の出演作に、ジャック・リヴェットの「修道女」「パリでかくれんぼ」、ルキノ・ヴィスコンティの「異邦人」、セルジュ・ゲンズブールが音楽を担当 したTVミュージカル「アンナ」などがある。

(配給:日本へラルド、ビデオ・DVD発売:カルチュア・パブリッシャーズ)

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