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![]() 左より、看板犬Candy、笹野さんのパートナー・フジモトさん、名シェフ・笹野さん
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今回の映画祭で、出演作「はじまりの風景」が上映される笹野みちるさんに、映画祭でのミニライブのこと、
ラブピースクラブの人気連載「犬の居ぬ間に」のこと、現在シェフをされている赤坂・ファンソンカフェのことなど、
気になるあれこれを聞いてきました!
初めインタビュー時間は30分ぐらいを予定していたのに、あまりの楽しさにかなり時間をオーバーしてしまいました。
その楽しさを一部音声でもお届けします!さて、いったいどんな話が聞けたのでしょうか? (当日はかなり強い雨が降っていたのと、赤坂の狭い路地なのになぜかデコトラ通過、の諸事情により 音声は聞き取りにくい部分もありますが、ご了承ください。ファイルの詳細については |
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― 最近はどんなところでライブ活動をされているのですか?「ここ2〜3年は吉祥寺でライブをやっていました。吉祥寺のMANDA-LA2というお店がすごく好きで、そこで良くライブをしました。ソロの他に京都町内会バンド(KCB)という活動もしています。そのバンドでも吉祥寺のSTAR PINE'S CAFEでライブをします。お店(ファンソンカフェ)を始めてからは、自主的にライブをやるよりも、声をかけられてその場所へライブをしに行くということの方が多いです。」 ― セクシュアルマイノリティーのイベントでライブをされることもありますか? 「最近増えてきました。PA/F SPACE(パフスペース)でやっているPA/F Night(パフナイト)というイベントや、ラブピースクラブのお祭りとか。あとは、小さなグループで活動している人たちのイベントからも声をかけていただいたりします。セクシュアルマイノリティーのお客さんだからといって、特に内容を変えることはなくて、いつも何も考えずにライブ会場へ向かいます。曲目さえ決めて行かないこともあるぐらい。3年前から弾き語りを始めました。まだへたくそですが、気合でやってます。」 ― ソロアルバム「ナカナオリ」に入っている収録曲の歌詞をみて、感情をそのままぶつけてくる感じがしました。伝えたいというテンションがものすごく高いな、と。 「アーティストとして活動するときは、感情はいつも吐き出したいというタイプです。溜めておくことが出来ない。我慢しても我慢が続かないで、やっぱり吐き出してしまいます。ですが、出したくないときもあります。自分は毎日毎日表現をしないといられないというタイプではなくて、むしろ沈黙している時期もすごく長いです。なので、そういうときにアルバムを作れといわれても作れない。仕事としてコンスタントにアルバムを出し続けるアーティストになるのは絶対無理。いまは気楽に、自然に活動しています。」 | |||||
映画祭では、「日本クリエイター特集」プログラムの中で、笹野さんのミニライブが予定されています。自然体で音楽と向き合っている笹野さんがどんな選曲でどんなライブを披露してくれるのか、楽しみにしていましょう!また、映画祭期間中、映画祭のブースではアルバムの販売も予定しています。(左の画像は笹野さんのソロアルバム「ナカナオリ」のジャケット) |
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ラブピースクラブのウェブサイトで連載されている「犬の居ぬ間に」は、“女が共に暮らし、共に仕事をしていく生活ってどんな感じ?”という疑問に答えるべく始められた、笹野さんと、パートナーでありファンソンカフェでともに働いているフジモトマミさんとの往復書簡です。カフェを始めることになったいきさつや、日常生活で思うところなどが暴露話も交えて書かれています。 ― この前お店に来たときはまだ連載を読んでいなかったので、お二人がパートナーだということを知りませんでした。 「パートナーですって札を付けているわけではないですから(笑)。嫌味ですよね? 主張したくないです。」 ― カップルや夫婦で、仕事場も一緒、接客業でまず思い浮かぶものといえば蕎麦屋です。頑固な職人肌の親父とテキパキと愛想のいいおかみさん。でも、お二人は気さくな従業員同士という感じがしました。 「ビアン同士がやっている店で蕎麦屋みたいになっていたら、逆にやばいじゃないですか! フェミに怒られちゃいますよ。“何、あのステレオタイプなカップルは?!”って。 でも、フジモトは頑固オヤジな一面もあるんですよ。江戸っ子で。普段は優しいお姉さんを装っていますが、 酔っ払いのオヤジとケンカしそうになったり。」 |
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| 住んでいる場所も一緒、仕事場でも一緒。いつも一緒にいる二人が別々になるのは、お風呂とトイレのときぐらい。一緒に住み始めて2年と聞いて、「2年は長くない」という笹野さん&フジモトさんに対し、「2年は長い!」と驚く映画祭スタッフ2人……。アナタにとって2年は長いですか? 短いですか?? 長続き(?)の秘訣について伺いました。 | |||||
― 長続きさせる秘訣は何ですか?「我を張りすぎるとダメでしょうね、何にせよ。自分の思い通りにしたいというのを相手に押し付けるのは、引っ込めなければと思います。コレは自分のエゴだよなとチェックを入れます。大抵はどうでもいいことに怒っていたりするので。」 ― お互いに違う部分はどんなところですか? 「フジモトも音楽をしていますが、お互いに好きな路線は違います。フジモトはメロディー重視で、ポップス好き。C-POP(中国語のポップス)が好きで、自分でも中国語で作詞をした曲を作っているぐらい。 私はロックが好きです。あとは、江戸っ子と京女の違いっていうのもあるかもしれません。 江戸っ子のフジモトは熱い風呂が大好きで。京女の私は熱い風呂がまるでダメ。銭湯に行っても30秒で湯船から出てしまいます。 東京のお風呂は熱いですね!」 | |||||
| 「犬の居ぬ間に」(5月30日の書簡)の中で、グンゼのパンツ(略してグンパン)をはいていることを暴露されてしまった笹野さん。他にもお互いに色んな暴露話が書かれていますが、どんな気持ちで書いているのか聞いてみました。グンパンはエンターテイナーの基本だった?! | |||||
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― グンパンをはいていることが暴露されていましたが。 「ひどいでしょう? 一応かっこつけているのに! どーしてくれるのよ! でも、本当なんです。今もはいてます、薄くなったやつ(笑)。梅雨以降暑くなってくると、使い古した薄手のほうが涼しいんです。」 ― 往復書簡を書いているとき、ウェブサイトに載るまで何を書いたかお互い見せないのですよね? 「北原さん(ラブピースクラブ代表)に送る前に一応見ています。ひどいよーって言いながら、ギャハハと一緒に笑っています。基本的に何を書かれてもしょうがないと思っていますから、ダメ出しすることはないです。グンパンも一応検閲済みなんですよ。あれもエンターテイメントのひとつ。喜んでいただくためには体も張るし、グンパンも披露する。エンターテイナーの基本ですっ!」 | |||||
笹野さんとフジモトさんは昨年10月、赤坂にファンソンカフェをオープンしました。京都のオーガニックコーヒー、酵素玄米のカレー、手作りNYチーズケーキが自慢のお店です。ビジネス街にあるとは思えない程、静かで落ち着けるお店。ある常連さん曰く「店のガラスを隔てて結界に守られたようなカフェ」だとか。― 色んな偶然が重なってカフェをすることになったとのことですが(詳しくは「犬の居ぬ間に」6月13日の書簡参照)、とは言っても、いきなり人に出せるような料理は作れないと思いますが? 「思い切りも必要だと思います。今日から私はプロと決めたら、プロ。何事でもそうじゃないですか? “今日から私、美味しいもの出します。以上!”と決めて、後から実力がついてくるようなところもあると思います。メニューもこれから増やしたいし、季節ごとに変えたメニューも出せるようになりたいです……といいつつ、かなりユルユルでここまでやってきているのですが。」 ― お店の仕事はどのように分担されているのですか? 「私は計算がすごく苦手なので、経営関係はフジモトがやっています。私は目の前にある玄米を炊いたり、カレーをかき混ぜたり。メニューは最初二人で考えましたが、メニュー表やサイトにあれこれ書いてあるうんちくは全てフジモトです。うんちく書き屋としてデビューさせたら儲かるんじゃないかというぐらいすごいです。お店の名前の“ファンソン”は中国語でリラックスという意味で、太極拳の用語でもあります。リラックスしているけど、次の動作にすぐ出られるような、ピリッと筋の通った脱力の状態だそうです。フジモトが太極拳をやっているので、そのコンセプトもフジモトが考えました。看板犬の部分はCandyがやっています。それぞれがお互いの持ち場を尊重するようにしています。」 | |||||
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― 最近ハマっていることは何ですか? 「インドの聖者の本を読むことです。聖者というのは、説明するのが難しいですが、執着が徹底的にない人たちのことを指します。こだわりがなく、義務感もない。湧き上がってくる慈愛で動いている人たちです。映画祭で上映する“始まりの風景”でも、インドのヨガの聖地を訪ねました。そのころから興味があって、自分でもヨガをしています。精神世界を深く掘り下げた人たちの本を読んでいると心が落ち着きます。」 | |||||
| 他にハマっていることはお二人で銭湯に行くこと。お店が休みの日には必ずといっていいほど銭湯に行くそうです。 銭湯は同性同士のカップルだからこそ楽しめる場所であり、疲労回復にも勝る効能があるようです。一体どんな効果があるのでしょうか? | |||||
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― 銭湯の魅力は何ですか? 「銭湯は女同士で一緒に入れることが利点です。ヘテロのカップルはどう頑張っても一緒に入れない。一緒にお風呂に入って、“背中流してあげようか?”と言って、それでケンカも帳消しにしたり、そういう使い方もあると思います。気持ち良ければそれで良し! 心の垢も、体の垢も洗い流そう!と。」 | |||||
| 最後はまた長続きの秘訣を教えてもらいました! 笹野さん、フジモトさん、インタビューにご協力ありがとうございました。映画祭当日のライブ、そしてこれからのご活躍を楽しみにしています! | |||||
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[聞き手&テキスト:ユミコ] |
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