であること

LGBTQ? 性的マイノリティ?
9名それぞれの自分自身「であること」

海外コーディネーターとして、テレビ業界で生きる西山ももこは、日々の仕事の中で、ふと疑問を持つ。多様性が叫ばれる今、本当の意味でのダイバーシティとは何か、理解できているのだろうか…。LGBTQだからといって、みんな一緒とは限らない、様々な意見があるはずだ。

西山はLGBTQにカテゴライズされている人たちに、彼らが積み重ねてきた内省や思索を聞くべく、訪ね歩くことを決意。“マイノリティ”という言葉を使うのが正しいのか?彼らが何を思い、どういう表現を嫌い、受け入れているのか。

9人に率直な疑問を投げかけ、自分自身『であること』を聞くうちに、西山は更なる疑問を持ち始める。社会を少しでも平等にしたいという思いもあって取材を始めたが、自分たちがやっていることは単なるお節介なだけなのではないのか…。

対話をくりかえす中で、「LGBTQ」「マイノリティ」「男と女」…様々な言葉で区別してきたものの境界線は、次第に曖昧になっていく。

<監督より本作の製作意図について>
今回、製作のきっかけになったのは、西山が参加していた、あるテレビ番組の制作会議で出た「ゲイについての話は触れられないなぁ」という言葉。「ゲイは特別枠なのか?」と内心驚き、大きな違和感を覚えた。「テレビ業界は残念ながら遅れている」という感覚がある。

そもそも私たちは、様々なことを、一般的なイメージの『枠』に当てはめ、そのイメージで物事を語り過ぎてはいないか?多様性が叫ばれる昨今、その本質をどれだけ理解しているのだろうか?

今回製作する中で一番大切にしたのは、さまざまな人間がいて、例えば『ゲイ』と言っても、それぞれが違う、いろんな意見を持つということだ。『性』も簡単に区切ることのできない多様さがあり、それはただ単に一人一人、自分自身『であること』だけが、答えなのだと思う。その生き方を目の当たりにし、無意識に区切っていた『枠』を取っ払うことができれば、いろんなことがもっと自由になるのではないか。

できるだけ多くの方の話を、じっくりと丁寧に聞くことに焦点を当てた。そして自分自身『であること』を語る言葉には、詩のような美しさと強さがあると信じている。

英題:Being
監督:和田萌 / プロデューサー・出演:西山ももこ
2020|日本|94分|日本語・英語
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[ドキュメンタリー] / [LGBTQ+]




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