香港エクスプレス

「美少年の恋」 美少年之戀/Bishonen
(1998/楊凡(ヨン・ファン)/香港/35mm/111分)

 男相手に体を売って金を稼ぐ美しい少年、ジェット。ある日、街角で若く凛々しい警官、サムと出逢い、心惹かれる。2人の間に芽生える友情、そして恋。潔癖なサムを前に自分の素性を恥じ入るジェットだが、実はサムにも知られたくない過去があった。香港の狭いゲイ社会の入り乱れる人間関係の中でその秘密が徐々に暴き出されていく。

 数年前実際に起こったスキャンダルを基にしたこの作品は、巧みな作劇術と超美形の男優陣と美しい映像が感動的。主役のハスラーを演じるのは主役初めての馮徳倫(スティーブン・フォン)。警官役には今年の香港アカデミー賞最優秀新人賞ノミネートの呉彦祖(ダニエル・ウー)。また、脇には謎めいた美女を演じる舒淇(スー・チー)が華を添え、他にも今後活躍の期待されるフレッシュな美少年俳優がずらり。青春真っ直中の美しい青年達の織りなす淡く切ないピュアなラヴ・ストーリーです。

【監督】 楊凡(ヨン・ファン)
【脚本】 楊凡(ヨン・ファン)
【撮影】 鍾有添(ヘンリー・チュン)
【美術】 郭嫻貞(シェリー・クォク)
【音楽】 鮑比達(クリス・バビダ)
【製作】 張艾嘉(シルヴィア・チャン)
【出演】 馮徳倫(スティーブン・フォン)、呉彦祖(ダニエル・ウー)、舒淇(スー・チー)、曽仕賢(ジェイソン・ツァン)、尹子維(テレンス・イン)
【ナレーション】 林青霞(ブリジット・リン)

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監督プロフィール 

 楊凡(ヨン・ファン)
1947年、中国・湖南省生まれ。少年時代を台湾と香港で過ごす。1968年にアメリカとヨーロッパを旅し、現地の大学で写真と映画を学ぶ。1974年に香港へ帰国し、写真家として注目を集める。「ヴォーグ」「ハーパース・バザー」といった雑誌に写真が掲載され、写真集「China Image」(1980)、「Tibet-A Distance Horizon」(1981)を発表する。1984年より映画製作に着手し始め、「少女日記/A Certain Romance」(1984)、「海上花/Immortal Story」(1986)、「意乳情迷/Double Fixation」(1987)、「流金歳月/Last Romance」(1988)、「祝福/Promising Miss Bowie」(1990)、「新同居時代/Conjugal Affairs」(1994)、「妖街皇后/Bugis Street」(1995)などを監督する。

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出演者プロフィール

馮徳倫(スティーブン・フォン):バンド「DRY」でデビュー、CDを4枚ほど出したのちに解散。日本公開作に「女人、四十」があるが、一瞬のカメオで確認できていない。ウワサによると王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の新作(主演:木村拓哉)に出演するらしい。

呉彦祖(ダニエル・ン):デビュー作が「美少年之戀」で日本で来年公開予定の「玻璃之城」(アミューズ)で準主役出演。

舒淇(スー・チー):日本公開作は「BE MY BOY」や「色情男女」、今年公開予定の「風雲」など。「洪興十三妹(ポートランド・ストリート・ブルース)」で香港アカデミー賞(金像奨)最優秀助演女優賞受賞。日本のウーロン茶「煌」のCMに出演中。

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監督の言葉
 数年前、足包馬地で起きたある事件が香港警察を揺るがすスキャンダルへと発展していきました。ある裕福なプレイボーイの家から多くの写真が発見され、その写真には若くハンサムで筋肉質な男たちが警察官の制服を来て、セミヌードでポーズをとっていたりしたのです。警察の調査によれば、写真に写っていた大半の若者はジゴロやモデルでしたが、そのうちの何人かは本物の警察官だったということです。そして、この事件が警察官とポップスター、それに2人のジゴロの関係を描いた「美少年の恋」の創作源となったのでした。

 この映画の趣旨は、それぞれの登場人物が抱く愛に対する欺瞞と不誠実さにより、愛憎関係が複雑に絡みあい、それによって閉ざされてしまった感情を打ち開くことにあります。欺瞞とは文字通り「美少年」たちの若さゆえの産物でもあったわけです。この映画は次々と起こる感情の「ねじれ」により幕を開けます。大概はこうした「ねじれ」というものは自然に解決していくものなのですが、「心のねじれ」というものはなかなか元には戻らない。そしてこうした「ねじれ」は次第に悲劇へを発展していくわけです。

 「美少年の恋」は単純なラブストーリーで始まります。しかし、「心のねじれ」が修復不可能な関係となり、悲劇の種を生みだすことになるのです。仮にこうしたことが人々の心を捉えるのなら、この映画の目的は達せられたことになります。

 この映画に主演している4人の俳優たちはみな新人ばかりです。馮徳倫(スティーブン・フォン)は今やアジアで最も有名なティーン・アイドルの一人です。またつい最近アメリカ留学を終えたばかりの呉彦祖(ダニエル・ウー)、曽仕賢(ジェイソン・ツァン)、尹子維(テレンス・イン)らの映画デビューでもあったわけです。彼らの恐れを知らず、慣習に囚われない演技は香港映画界に新鮮な息吹を与えてくれることでしょう。

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