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●「ダーティー・ベイビー」監督:トッド・ダウニング
Dirty Baby Does Fire Island (Todd Downing / 1997 / USA / 16mm
/ 8')
●「セイラー」監督:バヴォ・デフュルヌ
Sailor (Bavo Defurne / 1998 / Belgium / 16mm / 16')
●「隣の男の子」監督:カール・ファーマン
Boy Next Door (Carl Pfirman / 1998 / USA / 16mm /13')
●「愛しのスタンレイ」監督:サイモン・チュン
Stanley Beloved (Simon Chung / 1997 / Hong Kong / 16mm / 20')
●「猫と少年」監督:ドナルド・リチー
Boy with Cat (Donald Richie / 1962 / Japan / 16mm / 5')
●「フィッシュベリー・ホワイト」監督:マイケル・バーク
Fishbelly White (Michael Burke / 1998 / USA / 16mm / 22')
●「アイオワの夏」監督:マーク・クリストファー
Alkali, Iowa (Mark Christopher / 1995 / USA / 16mm / 17')
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甘酸っぱいひと夏の体験を通して大人に近付いて行く少年たちの、素肌に日焼けの跡のまぶしいセクシーな短編集。「ダーティー・ベイビー」はゲイのメッカ、ファイヤー・アイランドのスゲェ情景に目を丸くし、ケンカの絶えない姉弟は「隣の男の子」の気を引こうとしのぎを削る。ピエール&ジルを思わせる美少年とカラフルな映像の「セイラー」は、よせばいいのに船乗りに恋をしてしまう少年の話。「フィッシュベリー・ホワイト」は1羽の鶏を親友に暮らす孤独な男の子が年上の少年の裸をまぶしく見つめ、「アルカリの夏」は畑で見つけたブリキの箱の中から遠い過去が蘇る。香港からは幼馴染みの親友に友情以上の想いを抱く「愛しのスタンレイ」、そして日本からは蒸し暑い夏の午後のひとときを捉えた「猫と少年」を。夏のエッセンスの詰まった、映画祭オススメのプログラムです。
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●解説
「ダーティー・ベイビー」
(1997/トッド・ダウニング/米国/16mm/8分)
【監督】 トッド・ダウニング Todd Downing
映画作家・写真家。「Avon」や「Armani Exchange」の広告・宣伝に携わった後、「セサミ・ストリート」のマペットの撮影、MTVでも写真がフィーチャーされる。「ダーティー・ベイビー」が初監督作品であり、現在は次作品の準備中。
「愛しのスタンレイ」
(1997/鐘徳勝(サイモン・チュン)/香港/16mm/20分)
【監督】 鐘徳勝(サイモン・チュン)
トロント・ヨーク大学映画学科卒。香港帰国後、様々な映像メディア関係の仕事に携わり、現在は香港キリスト教大学映像学部で働く。他の作品として「Chiwawa
Express」(1992)、「Life is Elsewhere」(1996)など。
【監督談】
私はその土地に帰属しない人々について描くことに興味があるのです。私自身、少年時代に家族と共にカナダへ移住しましたが、8年後に香港に帰国しました。帰国後、多くの変化を目のあたりにするにつれ、自分のことをさながら「移民」のように感じたのです。これは多くの「帰国者」たちも同様に感じたことでしょう。
この「愛しのスタンレイ」を撮影するにあたり、香港の持つ独特の雰囲気、洗練された街並と西洋風のバーが入り乱れる観光地、といった西洋と中国がミックスされたようなものを捉えたかったのです。
「愛しのスタンレイ」を初めて香港で上映した時、2人の少年のキスシーンを多くの人々が話題にしました。少なからぬ人たちが予期せぬものとして驚いたようです。特にストレートの観客はキスシーンが出てくるまでは、単なる友情物語として受け止めていたのです。しかし、ゲイの観客は2人の背後にある感情の流れを読みとっていたのでした。
「猫と少年」
(1962/ドナルド・リチー/日本/16mm/5分)
【監督】 ドナルド・リチー Donald Richie
1924年、アメリカ・オハイオ州に生まれる。少年期より映画に関心を持ち、41年には最初の8ミリ作品を製作。46年に来日し、スター・アンド・ストライプ紙の映画評を47年から49年まで担当。一旦帰国して54年にコロンビア大学を卒業した後、再び来日し、69年までジャパン・タイムス紙の映画評を続けた。またカンヌ映画祭での溝口健二の回顧上映に協力して以来、欧米への日本映画の紹介、上映を精力的に推進する他、「小津安二郎の美学」「黒沢明の世界」など、日本映画に関する多くの研究書を著している。69年から73年にかけては、ニューヨーク近代美術館の映画部門キュレーターに就任し、日本映画の特集やアメリカ実験映画の世界各地での巡回上映など意欲的な活動を行った。
一方、8ミリや16ミリでの個人映画、実験映画の製作も続け、64年には飯村隆彦、大林宣彦らの結成した<フィルム・アンデパンダン>の活動に参加、胎動期にあった日本の実験映画界をリードした。映画ばかりでなく、54年から59年までは早稲田大学でアメリカ文学を講義するほか、文学、演劇、音楽、美術など多岐にわたる分野で評論・創作活動を繰り広げ、また日本文化への関心も高い。現在は東京在住。
「アルカリの夏」
(1995/マーク・クリストファー/米国/16mm/17分)
【監督】 マーク・クリストファー
コロンビア大卒。同期に「ハイ・アート」の監督リサ・チョコデンロがいる。「アルカリの夏」で注目を集めた後、70年代を代表するNYのディスコを舞台にした映画「54」で初長編デビューを飾る。
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