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プログラム98
猫はオウムを飲み込んで・・・
しゃべりだす!
(1996 Canada 75' 16mm b&w, color)
監督:
イリーナ・ピエトロブルーノ
クィアー映画の楽しみは、いわゆる"フツー" の人(つまり平凡ってことだよね)の、ハッ
キシ言ってフツー(つまり退屈)過ぎるものの見方、考え方、価値観etc.を、そんなのつまん
ないじゃんと言って逆転し、転覆し、逆手に取って、世界の閉塞を吹き飛ばしてしまえるこ
と−そんな我々が大歓迎すべきびっくりするような、映画の爆弾のような作品がカナダから
到着! 身体中が整形だとか病気妄想とか、タブロイド新聞に書き立てられ、追われるように
ストレス性胃潰瘍で病院入りした少女スター、シェーラザードと、病院で育ったらしいスタ
ーのゴシップ大好きミーハー少女のあいだに目覚める愛。どこか妙な人ばかりの入院患者、
シェーラザードに歪んだ欲望を抱き、彼女を殺そうとしているらしい医者、やがて病院その
ものがホラー映画の舞台に変貌して行く…。モデルの肉体、ファッション写真、ゴシップ・
ジャーナリズムからハリウッドのホラー映画まで、性的な肉体をポピュラーに表象する(=
商業的に搾取する)メディア映像を巧みにパスティーシュしパロディして解体しつつ、なん
ともフツーじゃない、キッチュで、歪んで、不気味で、斬新で、スタイリッシュなモノクロ
&カラーのナイトメア・ワールドを紡ぎ出す…。これ作った人って天才よ、きっと。
同時上映は、ある女性が“自分自身”について語るモノローグ『マイ・カント』。
(監督プロフィール)
イリーナ・ピエトロブルーノ
これが長編デビュー。よってまだまだ未知の存在ですが、作品から推察する限りホラー映画
を見て育ったんでは? (劇中に引用される映画のセレクションのマニアックさにも注目!)
ちなみにこの映画は精神病院の廃屋で撮影したのだとか。そこに完璧に自分のナイトメア・
ワールドを作り出してしまった、大胆かつお洒落なセンスには脱帽です!
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マイ・カント
(1996 Australia 6' 16mm b&w)
監督:デブ・ストラット、リズ・ボールチ
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