プログラム98

ダンディ・ダスト

(1998 UK, Austria 94' 16mm color) 

監督:ハンス・シャイルル


トランスジェンダー的ノイズ/スプラッター/ホラーコミックスのぶっ飛びムーヴィー! 極
端かつ内臓テンコ盛り、説明不能の絶対究極! 体液ドロドロ、血みどろのホラー映画…。ど
んな言葉も歯が立たない。監督いわく、『ダンディ・ダスト』は、「流動するジェンダー
(つまり、男も女も変幻自在)を持ったサイボーグ・テクノ・ヒューマン」カスパーが、フ
ェティッシュなセクシュアル・ファンタジー(エログロナンセンスってこと?)を体験する
ことで、現在・過去・未来に分散した自分をつなぎあわせようとする、れっきとした“ファ
ミリードラマ”なのだ。そこには身体とマシーンの関係性、暴力への憧憬と反感の共存、暴
力・エロティシズム・儀式の相互作用といったテーマが、グルグルと渦巻いている。だか
ら、普通の映画とはわけが違う。そう、これは、セックス、ジェンダー、家族といった古く
さいしきたりなんか二度と信じないと決めた、「現代のサイボーグたちのための神話」なの
だ。カルト的人気を誇る『Flaming Ears』(1992)から6年、アニメと実写を巧みに組み合わせ
るシァイルル監督の感性は、視覚・聴覚の両面において、『鉄男』の塚本晋也や香港のツ
イ・ハークといった作家の強い影響を受けている。
< 関連記事 online magazine "Anon" より (英語のみ) >
 スゴイものを見る前に、ホテルの一室の歴史早回し短編『ラ・シャンブル』でウォームア
ップしましょ。


(監督プロフィール)
ハンス・シャイルル
聴覚と視覚の両面から映画の限界に迫る、ラディカルな映像センスで(悪)名高きフィルム
メーカー。男か女か、ヘテロかゲイか、はたまたTSかTGか…。『ダンディ・ダスト』が長
編デビューのハンス・シャールは、ジェンダーもセクシュアリティもレッテルなんか全部蹴
散らすってんで、性別も不明の人物。オーストリア生まれ、ロンドン在住。クィア・シネマ
のディーヴァ、ジェニ・オルソンは「90年代の新しいレズビアン感性のパイオニア」と評し
ている。

インタヴュー:ハンス・シャイルル


ラ・シャンブル (1994 French 3' 35mm color) 
監督:セドリック・クラピッチュ

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