プログラム98

東宮西宮

(1996 China 90' 35mm color)

監督:張元(チャン・ユアン)

東宮西宮


 1997年カンヌ映画祭を騒がせた問題作−−というのもチャイニーズ・インディペンデント・ シネマの旗主、監督の張元が北京政府からパスポートを没収されて出席できなかったからで ある。いまだに映画が厳しい国家統制下にあり、言論の自由も人権も国家と共産党の都合の前には皆無に等しく、よその国の映画にまで圧力を加えようとする、中華人民共和国の、世界でも屈指の暴力的専制国家という顔。その国では公式にはいないことになってるらしい (資本主義の退廃の好例なんですと!)ゲイたちの姿を、外国(フランス)資本で撮り、国 際映画祭で見せてしまったことがお偉方の逆鱗に触れたのだ。

 北京・紫禁城の脇にある公衆トイレ“東宮西宮”に集まるゲイたち、彼らを取り締まる警 察。つかまった男たちの中に、警官に艶然と、挑発的に微笑みかける青年がいた。その彼、 作家のアランに好奇心と憎悪の入り交じった尋問を続ける革ジャンの刑事。そんな気持ちを 見透かしながら、アランはゲイとしての自分の半生を語り始める。「囚人は執行人に身をさ さげるのが宿命、だから僕はわざとあなたにつかまった。」その言葉に刑事の心の中の何か が崩れ始める…。中国初の本格的ゲイフィルム。その弾圧に全世界の映画人が怒りの声を上 げた衝撃の問題作を、特別プレミア上映。

 同時上映は、麻薬保持現行犯に間違えられた若い男が警官の荒々しい身体検査を受けるフ ランスの短編「サツ」。

日本配給:東北新社(99年1月「インペリアル・パレス」というタイトルでビデオリリース)


(監督プロフィール)
張元(チャン・ユアン)
自由を模索し、自分を表現しようと苦悩する若者たちを、国の検閲をまったく受けずに映画
に描いた『北京バスターズ』(1993)、巧妙な隠し撮りと知性あふれる編集で中国の中心(あ
の政府の勝手な思い込みによれば世界の中心)天安門の意味を痛烈にあぶり出した『広場』
(1994)−張元は中国政府には目の上の瘤のようなゲリラ映画作家であり続けている。本人は
ゲイではないらしいが、抑圧された者への共感の魂が強く心を打つ。


サツ(1994 France 3' 35mm color)

監督:グザビエ・デューリンガ 

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