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プログラム98
ファザーレス-父なき時代
(1997/Japan/52'/Video/Color)
監督:
茂野良弥
学校にもバイトにも行かず、無為な毎日を送る村石雅也、22歳。自分の体をナイフで傷つ
け、見ず知らずの中年男性に抱かれることで何とか自分を慰めている。家族を捨てて出て行
った父、自分をほったらかして夜遊びをくり返した母、ずっと軽蔑してきた継父、そして被
差別部落出身のこと。これまで向かい合おうとしなかった自分の過去をカメラの前に曝け出
すことで何かを変えられるのではないかと、雅也は故郷の長野県須坂へと向かう。1996年度
日本映画学校卒業製作として発表されたドキュメンタリー『ファザーレス−−父なき時代』
は、中田統一の『大阪ストーリー』を彷佛とさせ、近年の日本の“私小説”ドキュメンタリ
ー映画の系譜を踏襲しながらも、同時にそれを吹き飛ばすほどの勢いに満ちた感動を与えて
くれるはず。
“父との関係”をテーマにしたもうひとつのイギリスの作品『サブは蘇る』は、若いパキ
スタン系イギリス人アミンが、父親と一緒にパキスタン出身のハリウッドスター、サブのド
キュメンタリーを作るというフィクション。ゲイの息子に「サブのように男らしくなれ」と
言う父親と、「サブはハリウッドに搾取されているだけだ」と言って反目する息子。二人の
世代間の溝を、映画史の一こまにダブらせて描いている。
プログラムのオープニングには、ひとりぼっちの若者がビデオ・レターで“ハッピー・ゲ
イ・ライフ”を演じて見せるフランスの短編『ここにいるだけで』、ラストは衝撃的。
インタヴュー:村石雅也
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ここにいるだけで
(France 7')
監督:
マリオン・ヴェルノー
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サブは蘇る
(USA/9')
監督:
イアン=イクバル・ラシード
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