ベスト・フレンズ・ウェディング
MY BEST FRIEND'S WEDDING
(1997年/アメリカ/104分)

【監督】 P・J・ホーガン
【製作】 ジェリー・ザッカー/
      ロナルド・バス

【脚本】 ロナルド・バス
【撮影】 ラズロ・コヴァックス
【音楽】 ジェームズ・ニュートン・ハワード
【出演】  ジュリア・ロバーツ/ダーモット・マローニー/キャメロン・ディアス/ルパート・エヴェレット/レイチェル・グリフィス

 なんでこんなつまんない映画が大ヒットしたのかねー、というのが、観終わった後の率直な感想。

 ここには、機知もユーモアセンスもなにもない、身勝手でワガママなコマッタちゃんを描いたコマッタ映画だよね。別にコマッタちゃんを描いて悪い、というわけじゃないんだけど、そうした登場人物のことや、行為が全然魅力的に描かれてないから、誰一人として共感ができないんだよね。「アンタたち!勝手にやってなさいよ!バカ!」って言いたくなっちゃう。

 成熟しない大人を描いたとしても、描くほうに大人としての視点というか、批評性のようなものがないと意味がないんだよな。

 オープニングの出来損ないのミュージカル映画モドキのシーンからして冷汗ものだったけど、本編もヒドかったー。つまんない冗談をえんえん聞かされてるようだったもん。

 さすが、大バカ映画「ミュリエルの結婚」を撮った監督だけあって、演出のダサさ、といい、笑いのツボをはずしまくる無能さかげんといい観ていてイライラするー。あぁ、この題材をエルンスト・ルビッチかビリー・ワイルダーが撮ったらどんなに面白かったろうに、と思ってしまった。

 Eメールや携帯電話といった小物の使い方も、「ミッション・インポシブル」なんかの方が、まだマシだったわい。
 
 こういう映画って、細かい心理描写とかが大切なのに、そういうとこがおざなりだから、馬鹿馬鹿しいドタバタに終始しちゃうんだよね。随所に出てくる食事をするシーンだって、もうちょっと豊かに撮れないのかね。元カレとその彼女の3人が同じテーブルで食事をすれば、ちょっとした動作や仕草、言動に緊張感みたいのが出てくるはずでしょー。そういうディティールの積み重ねが全然ダメだから、全体的にガサツなかんじなんだよな。

 一番理解できないのは、ジュリア・ロバーツが未練を残す元カレが全然魅力的じゃないこと。役柄としても面白くないし、なんでこんな男に惚れて、今だに未練が残るのー?ってかんじ。演じる俳優もダイコンだし。ただのわがままでイヤな女じゃない。
  
 ルパート・エヴェレットの「怪演」が話題になってますが、あれも他の俳優があまりにヒドいから、相対的に良く見えるだけじゃなーい?

 女主人公のゲイの親友、という設定だったら、「猫が行方不明」の方が遥かにチャーミングでした。

 でもルパート・エヴェレットって、服の着こなしに優雅さみたいなのがあるよね。シンプルでいい服をさらりと着こなしているのはサスガ!ジュリアの元カレみたく、何着てもダサい田舎の大学生、みたいのとは一線を画しているよね。

        
(北条貴志)

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