<第2回:人を集めよう!>
すべてがボランティアの手によって運営されている東京国際レズビ
アン&ゲイ映画祭。何事も人がいなくちゃ始まらない!というわけで、今回はボランティアスタッフの募集・連絡などを行っているボランティアコーディネータの宮沢英樹さんに話を聞きました。
宮沢さんの具体的な仕事は「ボランティア希望者に説明をしたり、
各セクションにボランティアを振り分けたりするコト」で、まずは簡単に各セクションの説明を宮沢さんにしてもらいうました。これから
映画祭にボランティアとして参加しようと思っている方はぜひ参考に
してください。
○プログラミング:映画祭での上映作品を探し、決定します。
○字幕翻訳:外国語作品を翻訳し、字幕を作成・上映します。
○広報:広告、雑誌などの宣伝対応をします。
○WEB:映画祭公式ホームページの作成とメールマガジンを発行します。
○パンフレット:映画祭パンフレットを作成・配布します。
○協賛:大使館・企業スポンサーを捜し、対応します。
○チケット:映画祭のチケット販売に関する仕事です。
○テクニカル:映画祭当日の会場準備、運営進行を管理します。
○ボランティア:映画祭参加ボランティアを募り、仕事を割り振ります。
○助成金:各種助成金申請に関わる作業をします。
○会計:映画祭の会計及び資産管理を行います。
(この他にパンフレットの配布や映画祭当日に会場の設営などをする単発のスタッフの仕事もあります)
映画祭の仕事のために必要な人材として、宮沢さんが挙げたのは「一番は、時間のとれる人」とのこと(←本コーナー第1回での山平さんの
「代表になった経緯は『残ったメンバーの中で、私が一番時間がありそうだったから(笑)』」という言葉と見事符号! )。しかし、「でも、
みんな生活するためには働かなきゃならないから、無理が言えないのは事実」「自分の参加できるスタイルで、というのがお願いするときの口癖
」という宮沢さんの言葉には、「ボランティア」という言葉本来の「自由意志で」参加することと、限られた条件のなかで責任を持って仕事を成し遂げることとのバランスという問題が浮かび上がってきます。せっかく自分の意志で参加したボランティア。それが義務感だけで参加することになってしまったら楽しくなくなってしまう。でも、映画祭を成功させるためにはいいかげんな仕事はできない――そんなボランティアにつきもののジレンマ。実際、映画祭のボランティアスタッフに応募したいけれど、でもどこまでかかわれるか自信がないという人も多いのではないでしょうか。
こうしたジレンマを解く鍵は、「やりがいを感じるのはどんなときですか
?」という質問に対する宮沢さんのこんな答えのなかにあるのかもしれません――「オリエンテーションにたくさん人が集まってくれたとき。うれしくて涙が出ちゃいますね。あとは、このホームページを作っているweb
スタッフみたいに参加してくれた人たちが、いい仕事してくれると自分のコトみたいにうれしいです」。参加するときは一人でも、仕事を通
してその喜びが自分一人のものではなくてみんなと共有できるからこそやりがい
があるということ。かかわれる時間や仕事は限られているとしても、そのなかで自分なりにがんばってみることで得るものは決して少なくはないということ。だから、一年や半年にわたるボランティアだけでなく、たとえ一日だけのボランティアであっても、その力をこの映画祭に投入してもら
えるなら、ぜひ!と思うのです。
人間集団をたとえるときに「豆腐集団」「納豆集団」という言い方があります。同じ素材から成り立っていても、前者はメンバーの個性がすりつぶされてひとつにまとめられてしまっている集団で、後者はメンバーひとりひとりの個性がいかされている集団のことです。このたとえで言うならば、L&G映画祭は明らかに「納豆集団」! ひとりひとりの個性や専門性がいかされつつ、混ざり合って、糸引き合って(笑)映画祭という一つの目標へと渦巻いています。その一粒一粒を受け止めるお椀であり、かき混ぜるお箸であるのがボランティアコーディネータという存在なのではないでしょうか。そんな頼り甲斐のあるお椀&お箸の宮沢さんから、これからボランティアスタッフに応募しようとする人達へ最後に一言――「こういう仕事は、自分に対するいい経験になります。なかなか体験できないことも多いので、ぜひやってみてほしいです」。
(井上 澄)
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