queer de pon
  ショーガール SHOWGIRLS(1995)

ショーガール 監督:ポール・バーホーベン
出演:エリザベス・バークレー、カイル・マクラクラン、ジーナ・ガーション

一流のショーダンサーになることを目指して、ラスベガスにやってきたノエミだった が…。その年のゴールデンラズベリー賞を独占したカルトなエロティック・ドラマ。 ラスベガスのショーのシーンが見ものだ!

ショーガール オフィシャルサイト
http://www.mgm.com/cgi-bin/c2k/title_title.html&title_star=SHOWGRLS

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物語は「ベガスまで5百数十」と書かれた標識のある道ばたから始まる。重そうなスーツケースを抱えて、ヒッ チハイクをする美女・ノエミ。乗せてもらったピックアッ プトラックのドライバー相手にナイフをちらつかせる度胸と、そのドライバーにあっさり荷物を盗まれてしまう単純な性格のアンバランスさに、冒頭からいらだちを感じ る。おまけに場末のストリップ・ショーのダンサーとして娼婦まがいの「プライベー ト・ダンス」まで踊るくせに、娼婦呼ばわりをされればヒステリックに怒る。

ノエミに対して抱いたとまどいは、「女神」のオーディションで演出家が彼女を「ポリアンナ」と呼んだことで、すとんと腑に落ちた。日本ではアニメでおなじみの、少女小説の純粋無垢な主人公の名である。かわいくいたいけなポリアンナちゃんはさておき、「ショーガール」には魅力的な登場人物にあふれている。ノエミの才能を認め、 一緒にダンスをやろうと誘うジェームス。ノエミが最初に勤めた「チータ」のオーナーのアルは最低最悪のやなヤツだが、どこかロマンティックでセンチメンタルな実は情の厚い男。そのほか、一流のショー「女神」を作り上げるサノバビッチな男たちや、嫉妬と憎しみに満ちあふれたダンサーたちも、個性豊かに「ショー」を盛り上げ る。

だがしかし、なんと言ってもジーナ・ガーションが演じる大スター、クリスタルの魅力に勝るものはない。美しくて底意地の悪いクリスタルは、初めて会ったときからノエミを娼婦扱いし、あの手この手で邪魔をする。だがしかし、彼女の本心はやっぱり 「あなたを好きだからか、あなたのダンスを好きだから。どっちでも同じことだけど」 なんだと思う。なんと言っても「女神」にノエミを呼んだのはクリスタルなのだ。彼 女のアンビバレンツは、物語の終わりに傷ついた姿で最高潮を迎える。舞台メイクを 落としたクリスタルは、やつれきってはいるけれどいたいけで美しい。だけどきっと舞台を降りても、クリスタルはやっぱりどこかで意地悪をやってそうな気がするな。ノエミがまた別 の街で、セクシーなポリアンナちゃんとして生きるのと同じように。

(満月)


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いきなり関係ない話だが、デパートの1階には必ず化粧品売り場がある。うっかり迷い込んでしまったが最後、もう生きて戻れないような気分になってしまう。マスカラとマラカスがどう違うのか判別 できないワタシのようなスッピンレズにとっては、様々な種類の猛獣(ヒョウ、大蛇、ワニ等)が住んでいる密林のようである。猛獣はもちろん、爪をとぎ、目を光らせ、獲物を待ち受けている(被害妄想)。ワタシは小さいネズミさんがそそくさと逃げるように食品売り場へ降りてゆくのである。

「ワタシ、オンナなの。ほーら、セクスィでしょ。ウフン」みたいなフェロモンむんむ〜んな方々を見ると、なんともいえない気分になる。劣等感もあります。「どーせ、 アタイは身長155cmのチビッコで、性別分化も定かでない年齢不詳の謎の生物だよぅ! 」つーカンジ。でも、分かりやすいセクスィには、ヒデキのおヌード写 真集みたいな キモ悪さも感じるんです。ウエエ。

ワタシ、「ショーガール(略すとSGだわ!)」をロードショー公開で観てはいましたが、ナンカ怖い話だということをおぼろげにしか覚えていませんでした。だって、 猛獣の話なんだもん。

主人公のノエミちゃん(ちゃん、つーてもワタシと軽く身長差15cmはある)はネイルアートが好き。そう、米粒にお経を書く世界ビックリ人間みたいな作業を自分の爪にするやつ。ワタシ、アレがカッコいいとはとても思えないのね。だって、スポーツできないし、パソコンだって打てないじゃん。え?! 両方ともしたくない? これは失礼しました。ふんだわさ。

ビデオで復習しても、すんごいうろ覚え。で、違和感ぬぐえない。「ん? 主人公にからむ男って、こんな優男だっけ?」「デスコのシーンがないよーな気が…」おっかしいなぁ。「あ、ヴェルサーチをヴェルサイスって間違えてる。ひー、田舎モン&バカ丸出しー!」ちゃんと覚えているじゃん。「でもなぁ、足を組み替えて『ザッツ  ナァ〜イス』つーシーンがないぞぉ」そうです。ここでワタシも気が付きました。 「ショーガール」と「氷の微笑」が混じっていたのです!

ワタシにとっては「女」を売り物にしつつのし上がる人はみな同じでした。 要はケツとオッパイの映画です。でも、監督はそれをわきまえてて、変な教訓はくっつけたりしてません。潔いです。

唯一、イケる女が出てきたシーンは病床のクリスタル。ブ厚い化粧もなく、静かに笑うその姿は、「コーキィィィィ!!!」(結局レズかい)女商売を負けた人にしかワ タシは興味がないようです。

そして、ワタシ自身も女商売を張ることもができず、化粧品売り場から敗走しつづけるのです。

(つっちー)
「鬼レズはマッハで走る」 http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Sirius/1083/


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私には変な習性があって、コンビニでガム一つだけ買う、レンタルヴィデオ店でヴィデオ一本だけを借りる、などということができない。今回『ショーガール』のレヴューを書くにあたっても、TSUTAYAでこの映画だけを借りることができなかった。 ついつい、ジュリー・テイモア監督・脚本・製作、しかも私の好きなアンソニー・ “Dr.レクター”・ホプキンス(こう呼ばれることを彼は嫌うだろうが、演技の“怪物”という意味をこめて)が主演している『タイタス』とあわせてレンタルしてしまっ た。『タイタス』は新作なので、翌日返却だ。早速デッキにぶち込む。のっけからジュリー・テイモアの世界に引きずり込まれる。凄い作品だ。加えてホプキンス演じるロー マ帝国の老将、タイタス・アンドロニカスの迫力、そのうえ……  ……いかん、『ショーガール』のレヴューだった。

私は酒が大好きで、何かにかこつけていつも酒を飲んでいる。TVで、野球やサッ カーやF1を観戦しながらキリンを飲み、映画や芝居を観るかたわら赤ワインを飲 む。
『ショーガール』にはカリフォルニアのメルローをあわせてみた。これが安いながらなかなかの酒で、そういう酒を引き当てた自分のささやかな幸運に乾杯し……  ……だから『ショーガール』のレヴューだってば。

私はお酒を飲むと眠くなる体質である。しかし『ショーガール』を観ながら眠り込 んだりはしなかった。とはいえ、何か映画の印象が散漫だ。もしかすると、アルコール浸しの脳が、半分、夢をみていたのかもしれない。

次から次に現われる脇役たち、そして主人公……いや、逆だった。主人公と脇役たち。すべての登場人物に、同じように描写 の力点が置かれていて、「みんなの映画」 とでも呼びたくなるようなほほ笑ましい構成だった。

トップ・ダンサーを目指す主人公、ノエミは、大スター(といってもラス・ヴェガスの中の)クリスタルに対して凄まじい競争心を露にする一方、衣装係の黒人女性とは 「友情」を結ぶ。同業者に対しては厳しく、成功のきっかけをくれそうな相手に対しては誼みを結ぶ、そしてその人が自分の好みの異性であれば寝る、というわかりやすいノエミ。ここまでシンプルに、“Bitch”に生きられたら、ちょっといいかもしれない。期待の(←私だけか)「女同士の絡み」は、ノエミをちょっと誘惑したいクリスタルの誘いによって、二人のダンスという形で実現。ちょっとドキドキした。

映画の印象が散漫だったため、この文章も散漫になってしまった感がある。反省。 酒を飲みながら映画を観るのは考え直さなければならない。 しかし、『タイタス』を観たときも酒を飲んでいたのだが、どういうことだろう。

(はらハリー)


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(2001/6/24更新)
   
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