queer de pon

編集後記。
あるスタッフの日常

「日韓女子高怪談 」
(2001.7.15)

今年のレズビアン長編作品の中に「メメント・モリ」という韓国の女子高を舞台にしたホラー映画がある。”韓国の女子高ホラー・フェチ”(←かなり限定されたカテゴ リーではあるが)にはたまらない作品だ。まず、特筆すべきは、出てくる女の子達の美しさ! 主演の女の子3人はこの映画のあと、韓国の芸能界で引っ張りだこになっ たそうだけど、本当にきれいなのである。

ストーリーはある女生徒の自殺をきっかけに奇妙な出来事が次々と起こっていくというホラーもの。(詳しくはWebのプログラム紹介を見ていただきたい。わたしはこの映画を観て気に入ったので、色んな人に説明したのだが、私が話すとどうしても”コメディー”としか思えないらしいので)。「メメント・モリ」という言葉自体に「死を覚悟せよ」という恐ろしい意味がある。

女の子達の美しさ、高まっていく恐怖感も見ものだが、この映画を観てわたしが一番興味を持ったのは、韓国の女子高についてである。実に生き生きとクラスの様子が描かれている。実際、監督はこの作品のために、女子高生にアンケートをし、徹底的なリサーチを行ったという。

私も女子高出身だ。自殺を合図に不可思議な事件が・・・なんてことは起こらなかったが、うちもかなりホラーな学校だった。もともと付属だったので勉強には縁のない学校で、皆恐ろしく時間を持て余していた。授業中には男子校の卒業アルバムが出回り、次の合コンの予定を立てている。

中には特定の有名男子校ばかり狙う子がいて、「開成荒し」とか「暁星荒し」などの異名をとる子もいた。私は最初びっくりしたが、私は中学まで部活一筋で、ある意味普通 の学生生活を送ってこなかったので、”標準的な”女子高生のあるべき姿というものを知らなかった。だから「これが普通 なのだ」とすんなり受け入れた。今では考えられないけれど、中学生の頃は自分と同じくらいの体重の子を肩車してスクワット、 なんて恐ろしいトレーニングをしていたのである。

そんな私たちの女の園へ、ある日新しい新人男性教師が送り込まれてきた。大学院を卒業したばかりの生物の先生だ。顔は、田原俊彦を童顔&丸顔にした感じ。かっこいいかどうかはかなり微妙であるが、彼の噂はすぐに広まった。隣のクラスの女の子が彼のことを好きになった。全然授業なんて聞いてないのだろうが、職員室へ無理やり質問に行く・・・・そんなけなげな姿を私は何度か見かけた。

ところが、やがて彼女の態度は一変する。その新人教師と別の生徒の関係が噂になったからである。彼への愛は憎悪へと変わった。彼の授業が始まる前、クラス中の人に協力させ、みんなの机をすべて反対向きにする。しかし、これは彼が後ろの黒板を使って授業を始めたことであっさりかわされてしまった。次はその子が咳をするのを 合図に全員が筆箱を机から落とす。これも無視されたという。

そして彼女が最後にとった手段、これが私にとってはクライマックスなのだが、黒板に大きく「イカくさい!」と書いたこと!! かつての想い人に投げかける言葉とは到底思えない。若干16歳にして、この屈折した愛憎。彼女は今どうしているだろう。メメント・モリの監督、今度はこれをモチーフに映画を作ってくれないかな。かなりホラー度高しだと思うんだけど!

(ユミコ)

「藤原紀香、30歳のバースデー」
(2001.7.01)

藤原紀香が先日30歳の誕生日を迎えた。彼女は30歳の記念すべきバースデー・ パーティーをファンと報道陣を迎えて開いた。その様子がワイドショーでやってい た。どこのチャンネルを回しても、その日は藤原紀香の誕生日とエルメス銀座店のオープンのことばかりだった。どちらも「誕生」つながりってやつかしら、などと思いながらぼんやりテレビを観ていた。

私は別に藤原ファンではないので、今まで彼女の発言に特に注目したことはなかったのだけれど、今回、報道陣の相変わらずな「結婚は?」の質問に対する彼女の答えが気になった。

藤原は結婚に対しては30代のうちにしたい、といっていた。子供も30代のうちに 産んでみたい、と。報道陣は、最近出来ちゃった結婚発表をした、彼女と同じく若い世代の女性から支持されている梅宮アンナのことを引き合いに出し、「出来ちゃった結婚の可能性もありますか?」と聞いていた。藤原は「子供は神様の授かりものですから、(結婚前に子供が出来ても) それは全然ありですよ」と答えていた。出来ちゃった結婚は、いまや芸能人の間で一 つの通過儀礼になっているのか。

誰にとっても結婚や出産は人生の一大イベントなのだろうが、特に芸能人にとっては危険なカケだと言える。結婚を機にまったく写 真集が売れなくなってしまった女優もたくさんいる。ところが最近は人気の絶頂期でありながら、あっさりと結婚や出産を選ぶ若い芸能人が増えてきた。それは安室奈美恵の妊娠→結婚以降から特に増えてきたと思う。増えてきた、というより、以前のような結婚してしまったら仕事が減る・人気が落ちる、のようなマイナスイメージが減った。かえって、自分のやりたいことをやり、自分の道を進みながら、子供を産み育てていこうということを、若い女性達の「教祖」や 「ファッション・リーダー」的な芸能人が自ら選び取ることで、出来ちゃった結婚にプラスのイメージさえ生まれてきた。

私も結婚・出産をしても自分のやりたいことをやる、という傾向は歓迎すべきことだと思う。結婚か、仕事かどちらかの選択肢しか選べない、というのはあまりにも選択肢が狭すぎるし、どちらも選びたい(もしくは選ぶ可能性は残しておきた い)と思うのが普通なのではないだろうか。ただ、わたしが気になるのは、「出来ちゃった」結婚をすることに対する考え方なのだ。

道徳的にどうだと言うつもりはない。世間体だって関係ない。二人の間のことなのだから。物事には順序というものがあって、普通 は結婚のあとに子供は授かるべきものなのだ・・・そんなことも思わない。もともとこの人と一緒になりたい、と考えてい た二人の間に子供ができたのなら、それでいいと思う。でも、「出来ちゃった」とき、「自分の子じゃない」なんていわれたらどうするんだろう。「それでもいい。 自分で育てていくから」、と考えているのならば良いかもしれないが、当然「二人で育てていく」 と考えていた人にとっては大ショックだ。安室奈美恵や梅宮アンナの例はサクセス・ ストーリ ーにすぎない。(必ずしもそれがすべての人にとっての”サクセス”ではないが)。 「できちゃった」時の相手の反応なんて、わかりっこない。相手が自分にセックスを求める、イコール自分との間に子供を欲しいとおもっている、ではないというのは当たり前。コンドームをつけたがらないのは、 子供が欲しいからではなく、そのほうが気持ちがいいから、ということもあるかもしれない。「コンドームをつけて欲しい」とか、「もし子供が出来たときはどうする?」と切り出すなんて、うるさい女だと思われたくないから聞けない、という女の子もいる。だけど、そんなことさえ話し合えない関係で、実際子供が出来た ら、どうするのか? 彼はきっと逃げ出すだろう。「まさか”おろせ”とは言わないでしょう」、「子供ができれば、結婚する良いタイミングになるかも」とか「私のことを愛してくれている彼だから」とか、そういう思い込みや見切り発車はとても危険。子供が出来たと知ったら「俺の子じゃない」って言われるかもしれない。そんな時、「ごめん、実はアンタの子じゃないの」というのならいいけど!

勝手に彼を信じて「出来ちゃった」人が増えることに、私はとても不安を感じるので ある。そしてそれが新たな女性像のように語られていくことに。仕事も自分にとっては大切なこと。子供を持つのは、やはり自分の人生設計にかなり影響がある。「出来たら産んじゃえ、何とかなるさ」・・・・これがプラス思考だとは思えない。自分の人生に起こるイベントには、もっと自分の意思を持って関わっていきたいと思うじゃない? 妊娠をするか、避妊をするか、それは男性側にだけ責任があるのではない。女性にも責任があり、そして選択することが出来る。(←なんか、これって、すごい”リブ” な言い方かも!)。 私の人生、私が決める、という主体性を持った女性が増えていって欲しいと思っている私としては、出来ちゃった結婚にあまり良いイメージを持てないでいる。

(ユミコ)

 
2001年6月分

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