queer de pon


編集後記。
あるスタッフの日常

「1歳成人説」
(2001.4.27)

21世紀になってもう数ヶ月が過ぎた。今から100年前の人たちが想像できなかった世の中になっているように、これからの21世紀もものすごい変化を遂げていくの かもしれない。

わたしの友達のお父さんは、私が友達の家に遊びに行くたびに、挨拶よりも前に「早くお嫁に行ってくれよ」という。自分の親でもないのに心配してくれるのはありがたいが、いつもわたしは丁重に「余計なお世話です」と返すようにしている。

(自分の子も含めて)20歳を過ぎたら、どんどん女は鮮度を失っていくのだから、特にとりえのない女は早く行くべき、というのが彼の持論である。彼にとっては25歳になってもまだ結婚しないなんて、もはや還暦を迎えた女なのかもしれない。人間の寿命はどんどん延びているのに、なぜ適齢期は不動なのであろう? 25歳までに結 婚してなければならないとしたら、人生のかなり早くに”運命の人”と出会っていなければならない。人生で恋愛以外にもやりたいことはたくさんあるのに、それは大変だ。

だが、悲観することはない。今は21世紀なのである。その科学技術を持ってすれば 、25歳までに運命の人と結婚するためにイヌかネコのように1歳で成人することが 可能な世の中になるかもしれない。出会いサイトに「地方出身の2歳、オス」なんて載る日も近いだろう。しかし、必ずしもそれが良いこととはいえない。1歳で成人するとなると、出会いはもっと前になければいけないからだ。精子と卵子が結合した時点で運命の出会いがなきゃ、適齢期での結婚は難しい。結婚式のスピーチで仲人が「 お二人は受精卵の細胞分裂を繰り返しながら愛をはぐくんできました・・・・」というのを二人は神妙な顔つきで聞くのがお約束の世の中になってしまうかもしれないのだ。

クローン技術のヒトへの応用は今のところ禁止されているけど、解禁されたらどんな事態になるのだろうか。クローンで作られたヒトは自分と同じ家族になるのか? 親戚 になるのか? 国会では保守派とリベラル派がクローンと自分の恋愛は近親相姦にあたるのか、いや、自分と同一なのだから広義のオナニーとすべきだ、をめぐって紛糾!という事態が起こるとわたしはにらんでいる。

科学がどれだけ発展しても、いつの時代にあっても、そしてゲイであれへテロであれ 、その人の個性や生き方を主体に恋愛や結婚が語られるべきなのに、現実はそうもいかない。他人がどういおうと自分は自分、そう考えて生きようと決めた私でさえ、いまだに周りの無神経な発言に不愉快になってしまうことがある。もっと自分を強く持たなければ、と思う反面 、何でこんな余計なことにエネルギーを使わなければならないのだろう、とバカらしく思う。

すでに米寿(?)のユミコ

「ギャル服チェック 2001春夏」
(2001.3.30)

今春夏のギャル服のコンセプトは80’s。お店には、これでもかというぐらいフリルのシャツや、水玉 模様のワンピース、ストライプのスカーフ、幅が10センチ 以上もある太い革のベルト、大きなカメリヤ(コサージュ)などが並んでいる。なぜ、80’sなのか。今回は、突然ブレイクしたギャルの80’sファッションを徹底分析してみよう。

今なぜ80’sが流行るのか、実は理由なんてないのかも知れない。流行は繰り返 す、といわれるように70’sがさんざん流行ったから次は80’sなのかもしれないし、ユニクロのような男女兼用物が流行ったあとだから、女らしさを強調する80’ sに目新しさを感じるのかもしれない。水玉&千鳥格子なんて、今までおばさんブティックの専売特許だとばかり思っていたが、今ではかの「エゴイスト」でもお目にかかるようになった。ああ、流行って恐ろしい! ファッション雑誌では、こぞって 80’sを取り上げ、「女の子なんだもん、アピールしなきゃ!」と紹介している。

ただ、わたしは80’sファッションとギャル服には共通点があるように感じる。8 0’sの過剰さ(必要以上の飾り、大きなコサージュなど)は、ギャル服・メイクの 過剰さに通じる。さらに、ファッション誌では「女らしさ」というけれど、今回の8 0’sリバイバルでは、特に「色使い」が気になった。確かにフリルやワンピースは 女の子らしいかもしれないけど、使われる色は赤か黒&白の組み合わせ。これらはか なりインパクトのある色である。それらをアクセントとして使うのではなく、スカートやコートなど一番面 積の広い部分に使って いる。女性らしさというより、とにかく「自分の存在をアピールしたい・目立ちたい !」気持ちの表れ、と思えてくる。

真っ赤なコートなんてなかなか難しくて着こなせないと思うのだが、実際たくさん売られている。そのうち街は真っ赤なコートであふれるのかな。花粉症より怖いかもし れない・・・。 真っ赤なコートで、思い出す話がある。デザイナーのジバンシーのインタビューを読んでいた時のことだ。「ディナーが終わり、彼女を家に送ったあとで、彼女の真紅のドレスだけが印象に残っていたとしたら、その日の彼女のコーディネートは失敗だったといえるだろう」といっていた。つまり彼女からそのドレスは浮いていた。彼女は着こなせていなかった、ということなのだ。そのときわたしはまだ小学生だったが、 子供ながらに(馬子にも衣装、ではないのだ)と感じたのだった。強い色・デザインの服を着る場合、その色と張り合えるぐらいの個性がないと、洋服だけが一人歩きしてしまいかねない。

ギャル達がそれを着こなせているかは別として、わたしは今回の80’sブレイク自体は結構好きなのである。私自身、過剰なものが大好きだし、目立ちたいっていう人も好きだから。たとえ洋服を着こなせていなくても、洋服って、相当こだわらない人は除いて、自分の内面 の意思をあらわしているとわたしは思う。パンク系・ビジュアル系の格好を真似する人はその典型だが、自分がどういう人に近づきたいのか、人からどう思われたいのか、がその人の選ぶ洋服に表れている。80’sファッションが 流行ることで、そういう個性の強い服を着て、自己主張したいと思う女性が増えるな ら、それは望ましいことだし、ただ単にファッションのいちブームで終わって欲しくないと願っている。

(ユミコ)

「エコノミークラス症候群」
(2001.3.30)

先日、わたしは飛行機にも乗ってもいないのに、あの恐ろしい「エコノミークラス症候 群」になりかけた!

いったいどうしてそうなったかを説明する前に、エコノミークラス症候群とは何かについて触れておこう。(以下JALのHP(www.jal.co.jp)より引用)

エコノミークラス症候群とは
正式名称は「深部静脈血栓症」。飛行機など、長期間下肢を動かさずに座っている と、大腿の奥にある静脈に血の塊(深部静脈血栓)ができることがまれにある。怖い の は、歩いている間にその血栓の一部が血流に乗って肺に飛び、肺の血管を閉塞 してしまうことである。はじめ、この深部静脈血栓症が航空機内のエコノミークラス の乗客から報告されたため、エコノミークラス症候群の名前で知られるようになっ た。しか し、航空機の座席のクラスに関係なく、また航空機以外の交通 機関や劇場でも一定の姿勢のまま長時間動かなければ、同様の危険性があるとされている。

さて、このエコノミークラス症候群になぜわたしがなりかけたかというと、それはバーゲンで買ったジーパンのせいなのである。私はバーゲンでジーパンを買った。な んと千円だった。(これは買いだ!)と思ったが、サイズが大きいのしかなかった。 ベルボトムのジーンズなので、ひざより上はぴったりしているほうが、より裾の広がりが強調されてカッコイイと思うのだが、腿のあたりがダボッとしていてかっこ悪かった。普通 、店員というのは似合ってなくても「似合ってます」と言うものだが、 さすがに人としての良心には逆らえなかったのか、「ちょっとサイズが違いますよねー」と言われてしまった。

せいぜいボタン付けぐらいしかやったことのない私だが、何を血迷ったか直してはこうと思い買ってしまった。2時間かけて太ももの両脇をミシンで縫い合わせていった。出来上がったときはかなり満足! ジャストフィットなのである。

意気揚揚としてそれをはいて電車に乗り、新宿へ向かった。電車を降りようとした時、自分の体の異変に気がついた。足が膨らんでいるではないか!? あまりにもぴったりしたジーンズのせいで足の血液の流れが悪くなったのかもしれない。これは新聞で読んだあのエコノミークラス症候群というやつか? どうしよう、血栓が肺をふさいでしまったら。飛行機にも乗ってないのにエコノミークラス症候群になるなん て、わたしはさらにエコノミーな奴だな・・・・色んな考えが走馬灯のように駆け 巡った。
ほんとにどうなるかと思ったが何とか一命を取り留めた。

さて、その後どうなったかというと、無理してはきつづけた結果 生地が伸びたようである。

おわり

(ユミコ)

2001年3月分

2001年2月分

2001年1月分

2000年12月分

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