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■プリシラ■
The Adventures of Priscilla,
Queen of the Desert(1994)

監督:ステファン・エリオット
出演:テレンス・スタンプ
ヒューゴ・ウィービング
ガイ・ピアーズ
配給:日本へラルド映画
DVD発売:日本コロムビア


IMDb data
http://us.imdb.com/Title?0109045

<第5回>「プリシラ」
written by 喇木

痩男ティック、筋肉質フェリシア、初老真近ベルナデットというドラァグクィーン3人が、バスでドサ回りの旅をしながら、本当の自分、そして居場所を見つけていく。

旅の途中、ティックは妻子持ちだと打ち明ける。信じられないわ! とばかりに2人はティックに冷たく当たる。

人それぞれ何かしら背負っているものはある。迷いながらも、それを現実と受け止め、真っ直ぐ歩んでいる者は強い人だと私は思う。自分の道は自分の足で踏んで感じなければ、光も闇も生まれない。

ティックは息子に自分の職をどう説明しようか悩む。
ベルナデットは道中で出逢った男に魅かれながらも、自分に自信が無く躊躇する。

扉は自分で開かなければ…と分かっている2人。誰しも自分の内を知られたくないが故、突っ張ねる部分はあるだろう。だけど、それは知らぬうちに自らを苦しめる事になってしまうものである。

しかし、相手は意外にあっけらかんとしている事が多いもんだ。ティックは「父さんの仕事知ってる…?」と聞くと、息子は「知ってるよ」と無垢な顔で答える。1人で出来なけりゃ2人で、そして、とにかく歩いてみなきゃ分からないよ、という具合にね。

本当の自分探しは多分一生続くだろう。だけどこれを観て、最後に笑えればそれでいいと思った。正直に生きていれば誰かしら手を差し出してくれる…。例えば5人が手を差し出す。たった5人だけと思うか、5人も居ると思うかはあなた次第である。

そして、3人のドラァグクィーンはド派手な衣装で、見渡す限りの荒野の断崖に立ち、「帰りましょう」と呟く。誰もが帰る場所はある、と教えてくれるのが、この「プリシラ」なんじゃないかな。

私がこの映画を観た時期、心内では片付けられない自分の思いを抱えていた。それでも遠回しに表現してはいたが、伝える事にはダイレクトでなければ受け取って貰えないものがあるとプリシラで教えられた。純なる気持ちは純なままに…。それからは、バカ正直と言われようがありのままに伝えるようになった。今まで、様々な映画を観てきた私にとっては、世渡り下手な部分を「そのままでいいんだよ」と語り掛けてくれたのは、この映画が初めての様な気がする。

(2002/05/01up)
<第6回リレーエッセイ予告>
次の人へのおすすめは、「裸のランチ」
ジャンキー作家であったウィリアム・バロウズの原作を基に、デビッド・クローネンバーグ監督が制作。ハッキリ言って原作の名残りは殆ど無い…。ここまで変えるか? と半ば呆れたが、まぁ映画だから、そこには余り触れずにおこう。

ところでバロウズ、このオッサンはQueerである。
ジャンキーでドロドロな一生を送った奴でもある。
これだけ並べてみても、大体の雰囲気は掴めるだろう。

害虫駆除作業員の男の話です。男は駆除薬をドラッグの様に売りさばいたり、自ら常用し、連行されてしまう。当たり前です、ヤバイでしょうよ、と言いたくなります。
この辺がさすが外国だ、なんて。

そして、そこからクローネンバーグお得意のグロテスクなもののオンパレード。虫に変貌した喋るタイプライター等々…。まるでデヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」を思い出させるかの様だ。気持ち悪いです。夜一人で観ないように…。

さて、私がこれを選んだ理由は、逸脱したQueerというのを観て貰いたかったからである。どの世界でも抜き出て、突飛な事をやる人が居る。バロウズがクローネンバーグを通して、この映画の中で垣間見せてくれるだろう。
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