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●チーフ溝口の愛され作戦<第3回>
 「溝口家の食卓」
written by 溝口哲也
皆さんは正月にどこか行きました?実家に帰ったりしましたか?
僕は実家が福岡のド田舎でして、顔を見せるためにも年に一回、正月だけは帰るようにしています。僕も今では関東で暮らしてますが、福岡は19年住んだ土地。実家に帰ればとても懐かしいですよ。でも、実は最近では東京との文化の違いを感じることもしばしば。
文化の違いとは何か?九州は男尊女卑とか言いますけど、ウチはあんまりそんなことない。溝口家で一番キツイのは、ズバリ食文化です。

うちではいろんなものを食べます。九州だから馬刺しも食えば、スーパーではふぐも普通においてある。でも、本当にスゴイのは親父が持ってくる食材です。親父は釣りと料理が趣味で、いろんなものを釣ったり貰ってきては、よく料理してました。今日はその昔の事を話します。

僕は小学生くらいのころ、両親が共働きだったので家では風呂たき係でした。毎日学校から帰ってきては風呂の準備をするんですよ。ある日、いつものように学校から帰ってきて浴槽のふたを開けると、50〜60cmはある、丸々とした鯉が風呂の中をゆら〜り泳いでいました。

親父曰く
「釣ってきたもんは何日か水につけちょかんと、泥くさくて食えん!」
んじゃタライに入れとけよ!

まあその日はタライが無かったそうで、その後我が家では親父の作った鯉こくが何度も出ました。

他に、溝口家で頻繁に食べていた食材は軍鶏(シャモ)です。
軍鶏というのは、鶏同士を戦わせる競技専用の種類で、肉がゴムのように硬いの。とても貴重な肉らしいですが、僕は小さいころはこの肉が噛めなくて嫌いでした。

僕は子供の頃「とーさん、まずくてもいいき、お願いやき普通のトリにしてー!(泣)」と、いっつも言ってましたが全然聞き入れてもらえませんでした(怒)。この軍鶏は、生きたままどこからか貰ってきていたみたいで、家に帰ると、たまに物干し竿にシメたばかりの軍鶏がそのままぶらさがってました。それを親父が首を切って血抜きして、羽をむしってさばくんです。うちではそれが日常でした。今思うとワイルドですね。

親父はスッポンを釣ってきたこともあります。ごくたまに、川で泳いでいたスッポンが釣りに引っかかるんです。それも数日後にはうちで食べます。一度僕が家に帰ってくると親父に植木用の大きいはさみを手渡され、スッポンをさばく手伝いをさせられたこともありました。首を引っ込めないように僕がはさんで、親父が首を落とすんですね。首を切った後は、コップに血をためておいて、焼酎とまぜて飲みます。僕も少し飲ませてもらいました。
あるときは、タライに入れていたスッポンが逃げ出して、夜中に僕の布団に入ってきたこともありました。あぶない! 指食われるから!

他にも食べる肉は色々あります。ある日、親父が嬉しそうに帰ってきました。

「裏の峠でイノシシが死んじょったき、みんなで肉わけてきたぞ!」
うちはギャートルズか!

その肉も、うちでボタン鍋にして食ったことは言うまでもありません。

・・・まあ、そんなかんじで、今回実家に帰ったときも、家族で昔の話で盛り上がったんです。その時にわかったのですが、親父は僕らに内緒で肉以外のものも食べてました。

親父曰く、
「スッポンはの、お前等には言わんかったけんがー、いっつもさばいた時は、すぐ心臓と肝臓だけ生で食いよったたい! あれはめったに食えんきの!」

ですと! 血まみれの心臓&肝臓をひきずりだして! 
そのときにとっさに僕が言った言葉は、

「なし俺に言わんかったと! 俺も一回食ってみたかったばい!」

でした。
やっと関東の暮らしにも慣れたと思ったんだけど、やっぱり「三つ子の魂百まで」なのかしら・・・?
(2002/01/23up)
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