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「人体改造と私と、まだ観てない『HUSH!』」
written by 井上 澄


 私、最近人体改造にはまっております。美容院はもちろんのこと、歯のクリーニング(診察台が全室個室でなんとテレビつきというゴージャスさ!)、お肌のお手入れ(高級美容クリームによるマッサージ、パックなど)、韓国アカスリなどなど。未経験だけど、大腸洗浄(温水を大腸に流し込んで宿便を取り除く)や、ケミカルピーリング(顔にフルーツ酸を塗って、古い角質を除去する)、コラーゲン注入もぜひ挑戦してみたい。
「人造人間キカイダーか、お前は!」と我ながらつっこみのひとつも入れたいぐらい、自分の体に手をかけるというか、メンテナンスすることに対する興味・関心がここ1、2年むくむくと湧きあがり続けております。いや、そもそも土台がたいしたことないので、手やお金をかけても、たいした変化は望めないのは重々承知なのですが、結果じゃなくて過程なんです! 自分の体に手をかけているというそのプロセスとそれに向かう意識が重要なんです、私にとっては!(キッパリ)。

なんというか、その「自分の意志で自分を変えている」という意識が私を無性に高揚させるんです。どういうきっかけだったのかは分からないのですが、ダムが放水して川の水が高いところから低いところへと流れるかのように、ある日を境にドド〜っと自分の体に手をかけることに意識が向き出しまして。「ありのままの自分でいたいの」的なナイーブさが、ある時を境に、「なりたい自分になる!」的なバイタリティへと変貌を遂げたんです。いや、私ノンケ女子ですけど(あ、すいません、申し上げるのが遅れました)、それは「対男性を意識して」ってことではなかったと思う。「ありのままの自分でいたいの」とか目を潤ませていたときの方が男運よかったもん。ははは…(乾いた笑い)。

だから、昨年の映画祭のパーティのトークショーで橋口亮輔監督のほくろを取る手術をした話を聞いたときは、とっても共感したというか、「さすが、橋口監督!」と会場のなかで一人、胸を熱くしていました。びば、人体改造仲間。あのときのメイントピックは、きっと橋口監督の最新作『HUSH!』とその物語に絡む「子ども」や「家族」
だったと思うのですが、私にとって一番重要だったのは「子ども」でも「家族」でもなく、「ほくろ」だったという…。

うまく言えないのですが、結局自分の体って選べないわけじゃないですか。どういう親のもとに生まれてくるかも含めて。わけもわからずまるっきりの受動態で生まれてきた子どもが(「生まれた」は、英語だと「I was born」って受動態だしね)、「気に入らないから変えるんだよ」「なりたい自分になるんだよ」と、能動態で荒野に一歩を踏み出すそのバイタルな意志の薄暗い明るさと切なさとほろ苦さ――それが『HUSH!』という映画の通低音なのではないかしら…。で、多分その感覚って、私の人体改造ともどこかでつながっているような気がするのです。そんなことを思いつつ、日夜体のメンテナンスに励みつつ、1日も早く『HUSH!』を観に行こう! と心に誓う今日この頃です。

(2002/05/10up)
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