劇団フライングステージ
関根信一さん ロングインタビュー(5
)
≪東京レズビアン&ゲイパレード2002へ≫
−関根さんは今年の東京レズビアン&ゲイパレード2002の実行委員長ということで、まず一つ、今年のパレードが目指すものっていうところでお聞きしたいのですが、「セクシュアルマイノリティ」っていうものが決して一つの声で語られるわけではなく、非常に多様であるっていうところを引き受けつつ、それをパレードするっていう一つのアクションに象徴していくっていうことについて、どのようにお考えですか。
まず名称の問題として、「レズビアン&ゲイパレード」というふうにしたのは、今年何をやっていきたいかというと、福島光生さんがやった去年のパレードのなかで、セクシュアルマイノリティのコミュニティのなかでのある程度の認知度ってすごく上がったと思うのね。
で、今年はノンゲイ、ノンセクシュアルマイノリティに対しても向き合っていこうかと考えました。そのためには名称を分かりやすくしておきたいっていうのが一つにはあったんです。継続性っていうものも出したかったし。それから、あらゆるものを網羅しようとすると、結果としてあらゆるものを取りこぼしてしまうかもしれない、っていうことも考えました。セクシュアリティの名称を一つずつ挙げていこうとしたら、それぞれの名称は、言ってみれば「点」じゃないですか?
その点と点の間は、ものすごく微妙なグラデーションになっているわけだから、結局、その全てを一つの名称で言いきってしまうのはとても難しいのじゃないかと思ったんです。だとしたら、選択肢として「レズビアン&ゲイ」という名称にしてみようじゃないかと。もちろん、「東京レズビアン&ゲイパレード2002」はセクシュアルマイノリティの人たちみんなと開催していきたいんだけども、「共存」とか、お互いの違いを対立の理由にするよりは、お互いの寛容さっていうか、お互いの違いをこそ、大事に尊重していけるっていうことを前提にやっていきたいなと思ってます。2002年っていう年が、そういうことを考える時期としてはとても成熟してるんじゃないかと。
僕は自分がゲイだってことをきっちり言ってるんだけども、実は10代の頃、厳密にはトランスジェンダー的な部分が非常にあったんですよね。非常に女性になりたい願望が強かった。それが、ゲイコミュニティと出会って、「僕はゲイだ」「ゲイの劇団」ってことに自分をアイデンティファイして、これまでやってきました。でも、劇団も10年、コミュニティとかかわっても10年ちょっとっていうことで、僕は今その自分のなかでの「女の人になりたかった自分」っていうものをもう1回見つめ直そうと思ってるんですよ。去年、一昨年と砂川さんと福島さん、非常にゲイゲイしい(笑)体格のいい、髭の生えた実行委員長だったんだけど、今年の僕はそうじゃなくやっていこうと。「僕はゲイである」っていうことは言っていくんだけども、僕の中のトランスジェンダー的な部分は抜きにしないで、フェミニンなキャラクターであるっていうことは出していこうと思ってます。「レズビアン&ゲイパレード」って言いながら、僕が実行委員長で、僕の顔、僕のこの体っていうものが、その名称というか、セクシュアリティの名前を越境する存在でありたいなぁ(笑)なんて考えてるんですよ。先々のことで考えれば、レズビアンの人が実行委員長になったり、いろんなセクシュアリティの人がどんどん実行委員長になっていいんだと思うんですよね。だからその端緒として、僕が抱えているもの、この体で、「ゲイ」って一言では言えない、見た感じ「ゲイってこれ?」っていう(笑)ものでやっていきたいなぁと思ってます。
−パレードの外部に向けてのアピールとして、開催日までの宣伝方法とか、当日沿道向けに今までとは違う手法とかありますでしょうか。
そうですね。たとえば、横断幕を正面に向けていると沿道から見えないじゃないですか。だから沿道から見えるように横向きにしなきゃいけないんだな(笑)なんて単純に考えたりしてます。舞台の演出の工夫みたいなこととか、「あ、こんなこと思いついちゃった、やってみよ」みたいなことを、パレード全体の演出としてやってくのが今年の僕の仕事かもしれないななんて考えてますね。一昨年から再開した東京のパレードの3年目っていうこととしても、そんなところに目を向けていくっていうのも時期的にとってもいいタイミングなんじゃないかと思ってます。ショーアップっていうほどたいそうなものではないんだけども、演出していくっていうことを抜きにしては、パレード自体のこれからも考えていけないでしょうしね。だから、僕としては、まず「見せていく」っていうことを押さえていこうと考えています。
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(2002/07/15up)
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