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Wrap Up' 99

1.概観

 第8回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は、多くの方々のご支援、ご協力を賜り、大盛況の裡に終了することができました。例年と異なり今回は7月半ばから末にかけての開催ということで、客足の予測が難しく心配されましたが、実際には前売り券が全て売り切れたり、立ち見客で会場がぎっしり埋まる回なども続出。全入場者数は6000名近くに達し、1日平均入場者数では昨年を上回る実績をあげることができました。

 今回は7月半ばの開催ということで、演出やプログラムの内容も夏らしい内容となりました。夏をテ−マにした作品(「サマ−ボ−イズ」や「サマ−ガ−ルズ」の短編作品集)、明るく開放的な雰囲気の作品を意識したラインナップは、好評を博しました。そうした雰囲気は、パンフレットなどの印刷物、ロビ−や1Fカフェでの映画祭パ−ティ−にも反映され、いろいろな側面で観客の方々に楽しんでいただけたと思います。

 プログラム別に概観すると、当映画祭では今回初登場の香港映画の2作品を始め、インドや日本の作品はすべて満員となるなど、アジアの作品に対する関心の高さを、あらためて強く認識させられました。また、観客層は、レズビアンやゲイの観客にとどまらず、広く一般の方々の来場が一層増えたような印象があります。内容的にも、ゲイやレズビアン、バイセクシュアル、ストレ−トが共存するコミュニティを描いた作品が増えるなど、セクシュアリティというテ−マが、同性愛や異性愛という垣根を越えて関心を集める傾向は今後さらに強まっていくでしょう。


2.データ

東京
期日 1999年7月15日(木)−20日(火)
会場 青山スパイラルホール
規模 6日間 16プログラム 22回上映
協賛 株式会社ユナイテッドアローズ、AOLジャパン株式会社、
キリンシーグラム株式会社
会場協力 株式会社ワコールアートセンター
後援 スペイン大使館、カナダ大使館、
映写(フィルム) スタンスカンパニー
映写(ビデオ) アテネフランセ文化センター
字幕 ホワイトライン
協力 テラ出版、ジョイナック、Gプロジェクト、アキ総合企画、
イン・アクション、ゴ−ルドフィンガ−、ユーロスペース、
イメージフォーラム、スペイン外務省、スペイン教育文化省、

観客動員数 約6000名

関西
主催 QFF
期日/会場 
大阪 7/24 - 30 パラダイスシネマ
京都 7/31 & 8/1 ウィングス京都
規模 9日間 11プログラム 14回上映
観客動員数 約1600名


3.ハイライト

総観客数6千名、前売り券売り切れのプログラムも!
今回の映画祭では、長篇プログラムを中心に立ち見客も出る超満員の上映が相次ぐなど、正味五日間で6000名近くの観客を動員し、大盛況のうちに幕を閉じました。特に、当映画祭初の香港作品「美少年の恋」および「ポートランド・ストリート・ブルース」は前評判が高く、チケット発売開始後数日間で前売りチケットのほとんどが売り切れてしまうなど、香港パワ−が炸裂しました。

 「ポートランド・ストリート・ブルース」は、主役のサンドラ・ンが同作品で金像奨(香港アカデミーショー)最優秀新人賞を獲得し、香港ギャング映画で初めてレズビアンを主人公にした作品ということで、満員の観客を集めて今年のオープニングを飾りました。また、土曜の夜のメインフィーチャー「美少年の恋」では、監督のヨン・ファンと主役のダニエル・ウーの2人がゲストとして来日。入場を待つ観客の長蛇の列の中を入場する2人には大きな歓声と拍手が沸き起こりました。またサインを求める熱心なファンが2人を取り囲み、上映後の挨拶でも熱心な質問がよせられました。今年の金像奨(香港アカデミ−賞)で新人賞を獲得したダニエル・ウーは、日本でも早くも人気急上昇です。「美少年の恋」は今後日本でも一般劇場公開が強く待ち望まれています。

アジア作品に対する高い関心
 インドの女性の性と欲望を大胆に描き、昨年秋、インド本国での公開時に大きな波紋を呼んだ「炎の二人」は、当映画祭においても大きな関心を集め、最高の入場者数641名を記録。美しい映像、そして伝統的価値観に反して愛を貫く2人の女性の姿が、今回上映された作品のうちもっとも好評でした。同作品や香港の2作品のみならず、短編集プログラムの中で上映された韓国の中編「聖者の見た夢」や日本の大木裕之監督の「心の中」、そして応募のあった今泉浩一監督の「憚り天使」(日本)なども多くの観客と話題を集め、アジアの作品に対する高い関心が、あらためて顕著にうかがわれました。

スペイン・レトロスペクティブ
 毎年スペイン大使館の後援を得て恒例となっているスペイン映画シリ−ズ、今回は70〜80年代の古典的作品を集めて特集を組みました。フランコ独裁体制後の民主化の中で、それまでタブ−だった同性愛や性転換などのテ−マを取り上げた作品を集めた「スペイン・レトロスペクティブ」は、スペイン大使館のヘラルド・ブガ−ジョ文化参事官の舞台挨拶でも語られたように、芸術的にも社会文化的にも非常に貴重な企画だったとの高い評価を受けました。

来場ゲスト
香港から「美少年の恋」のヨン・ファン監督ならびに主役のダニエル・ウ−の他に、「心の中」の大木裕之監督、「憚り天使」の今泉浩一監督も来場し、熱心な観客の質問に丁寧に答えていました。

 また、ドイツの「ファーツアウバート・レスビアン&ゲイ映画祭」でプログラマーを務めているマティアス・ストルンツおよびカ−ト・ラウシュ、「アムステルダム・レズビアン&ゲイ映画祭」プログラマ−、マ−ジョリン・フェルドカンプ、韓国「ソウル・クィ−ア映画祭」のディレクタ−、セオ・ドンジン、台湾でレズビアン&ゲイ映画祭設立の準備を始めているケン・リンなど、海外のフェスティバル関係者が訪れました。近年、韓国や台湾、タイ、香港などで新しいレズビアン&ゲイ映画祭が誕生しつつあるが、アジア全域にまたがるネットワ−クの軸として、当映画祭には大きな期待が寄せられています。

真夏の夜を華やかに彩った「グラン・バル」パ−ティ−
 毎年ユナイテッドアロ−ズ社の協賛を得て恒例となっている、スパイラル1Fでのパ−ティ−「ル・グラン・バル」。今回は、”カンヌ・オン・ザ・ビ−チ”をテ−マに、東京のクラブシ−ンで活躍するドラァグクイ−ンやGoGoダンサ−達を多数ゲストに集めてゴ−ジャスな夏の雰囲気を演出。ミックス度の高いリラックスした感じは、当映画祭ならではのパーティーとなりました。

携帯サイズが好評だったパンフレット
 昨年までA4サイズだった宣伝用のパンフレットを、今年はそれを縦半分にした、ズボンのポケットに入る携帯用サイズにしました。手に取りやすい、見やすい、持ち運びに便利、という感想が多く聞かれ好評でした。また、表紙のビジュアルは、男女の裸の写真という挑発的な素材ながら、セックスやセクシュアリティに対して開放的な、リラックスした感性が、特に20〜30代の若い観客層に人気がありました。

会場のエントランスやロビ−を飾った写真展
 パンフレットの表紙の写真を撮った下村しのぶさん、東京のドラァグクイ−ンをシリ−ズで撮り続けている後藤さくらさんの、2人の女性カメラウ−マンの写真展をスパイラル3Fホワイエ、およびそのエントランス部分で開催しました。海外の作品が大部分を閉める映画のプログラムに対して、これら2つの写真展は実際の東京のゲイカルチャ−を紹介するという点で、非常に大きな意義がありました。映画とは別に写真展だけを見に来るお客さんも数多くありました。


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(C) Tokyo International L&G Film&Video Festival