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愛の破片 (1996 France/Germany 120' 35mm color) 監督:ヴェルナー・シュレーター |
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「われわれが声で表現するあらゆるものは、別の人に近づきたいわれわれの欲望から生まれている。そして歌声こそ至高の愛の表現だ。」こう語るのはニュー・ジャーマン・シネマの最も過激な映画作家として、またオペラと演劇の演出家として国際的に活躍するヴェルナー・シュレーター。「14歳の時マリア・カラスの声を聞いて、私の人生は変わった」という彼が、愛するオペラ歌手たちを集めた−−あなたの愛する人を一緒に連れて来てほしい、と 頼んで。 ローレンス・デイルやセルゲイ・ラリン(共に男性の恋人を連れて)ら現代オペラのスー パースター、“フルトヴェングラ−のミュ−ズ”マルタ・ム−ドル、長年の伴侶(女性)を 伴ったリタ・ゴ−ルと言った伝説的な女神(ディ−ヴァ)、そしてカラス以降の最高のドラ マティック・ソプラノとしてその将来を嘱望されながら病気により29歳で隠遁、その行方す ら知られていなかったアニ−タ・チェルケッティが、引退以来初めて姿を見せ、それぞれの 愛を語り、愛を歌う。愛、人に近づきたい人間の欲望と官能には様々な相手があり、人生の数だけ愛のかたちが ある。確かなのはそのあらゆる愛が等しく尊く、そして愛は我々にとって最大の神秘である ということ−−だから愛の探求は終わらない。あの「親愛なる幽霊」マリア・カラスに捧げ られた珠玉のフィルム、監督はそれを「この映画は、わたし自身だ」と語る。 |