プログラム98

愛の破片

(1996 France/Germany 120' 35mm color)

監督:ヴェルナー・シュレーター

愛の破片


 「われわれが声で表現するあらゆるものは、別の人に近づきたいわれわれの欲望から生まれている。そして歌声こそ至高の愛の表現だ。」こう語るのはニュー・ジャーマン・シネマの最も過激な映画作家として、またオペラと演劇の演出家として国際的に活躍するヴェルナー・シュレーター。「14歳の時マリア・カラスの声を聞いて、私の人生は変わった」という彼が、愛するオペラ歌手たちを集めた−−あなたの愛する人を一緒に連れて来てほしい、と 頼んで。

 ローレンス・デイルやセルゲイ・ラリン(共に男性の恋人を連れて)ら現代オペラのスー パースター、“フルトヴェングラ−のミュ−ズ”マルタ・ム−ドル、長年の伴侶(女性)を 伴ったリタ・ゴ−ルと言った伝説的な女神(ディ−ヴァ)、そしてカラス以降の最高のドラ マティック・ソプラノとしてその将来を嘱望されながら病気により29歳で隠遁、その行方す ら知られていなかったアニ−タ・チェルケッティが、引退以来初めて姿を見せ、それぞれの 愛を語り、愛を歌う。愛、人に近づきたい人間の欲望と官能には様々な相手があり、人生の数だけ愛のかたちが ある。確かなのはそのあらゆる愛が等しく尊く、そして愛は我々にとって最大の神秘である ということ−−だから愛の探求は終わらない。あの「親愛なる幽霊」マリア・カラスに捧げ られた珠玉のフィルム、監督はそれを「この映画は、わたし自身だ」と語る。

日本配給:セテラ・インターナショナル


(監督プロフィール)
ヴェルナ−・シュレ−タ−
映画に演劇にオペラに、世界中を飛び回って活躍するシュレ−タ−。映画も演劇も「私にと
っては、創作テクニックの相違でしかなく、人間の表現としての違いはない」と言う。ただ
し、自分の脚本を好きなように変えて撮る映画と、あくまで既存のテクストに従う演劇では
「ストレスのレベルも違うかも。」「合計で私は映画を30本作っているが、演劇の演出は45
だ(笑)。つまり私はきっとサディストよりはマゾヒストなんだろうねェ」と艶然と笑みを
浮かべるんだもの、インタビュ−してるのかナンパされてるのか分かんなくなっちゃった。
素顔は宝石のアクアマリンが好きで大きな指輪を三つもつけてるお茶目なおじさま。
インタヴュー:ヴェルナー・シュレーター

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