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■ベニスに死す■
MORTE A VENEZIA(1971)
 
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
原作:トマス・マン
出演:ダーク・ボガード/ビョルン・アンドレセン/シルヴァーナ・マンガーノ

ビデオ発売:ワーナー・ホーム・ビデオ
配給:日本へラルド映画

IMDb data
http://us.imdb.com/Title?0067445
<第2回>「ベニスに死す」
written by david
う〜ん、ヴィスコンティ初体験。クィア映画の金字塔について、文句を言うつもりはないけれど、僕にとって、この映画は可でも不可でもなく、「ふ〜ん」というのが正直な感想。妖しい魅力が持ち味のおじさまダーク・ボガード主演ものでも、ブラックなノリの「召使」の方が僕好みだし。

「ベニスに死す」は、心身共に疲れ果てた老音楽家が静養のため訪れたベニスで、美少年に出会い一目惚れ。これがきっかけで、生きる情熱を取り戻すんだが、忍び寄る死の波には勝てず…というお話。まぁ、言ってみれば、この映画は、地位のあるいい歳したおっさんが、小悪魔的な魅力を持つ少女にメロメロゾッコン(死語)。奇行に走り、破滅する「ロリータ」ものに属すると思う。

ボガード扮する老音楽家が、美少年に出会うシーンは傑作だ。おっさんは、自分のテーブルの上にある邪魔な花瓶を脇に押しやってまで、少年から目を離さないほど夢中になる。「おぉ〜、こりゃええわ」と鼻の下伸ばしてたら、少年が、ふいに自分の方をふっと振り返る。このゾクゾク感。ああ、素敵な片思い。でも、共感できるのは、ここまで。
恋は盲目とは言うものの、おっさんの奇行はエスカレート。帰路に就こうとしたら、手違いで駅に荷物が届かず、ホテルにとんぼ返りするシーン。船上で、「また、あの少年に会えるぞ。ひゃっほ〜!待ってろよい」と大喜びするおっさん(→魂の高揚とでも呼ぶのか)は笑ってみてられるけど、これが、奇怪な若返り白塗りメイクにまで達すると、さすがについていけなくなる。これが芸術家の狂気なの? ちょっと違う気がするんですけど。
でも、それはそれでよしとしよう。僕が、いまいち楽しめなかったのは、この映画が 描くとってつけたような「芸術家の苦悩」と、「恋の滑稽さ」と「忍び寄る死」のバランスの悪さゆえだ。まぁ、人生って、そんなもんだけど。

ところで、美少年を演じたビョルン・アンドレセン君って、ほんとに美少年なのかね? あんまりピンとこない。どれだけの美少年かとテレビにかじり付いて観察したものの、う〜む。。。。これって、好みの問題!? 僕は、むしろ、服装に助けられてる面が大きいかと思う。彼の顔をみていて、「エンジェル・アット・マイ・テーブル」や「インティマシー」に出てるケリ−・フォックスという女優さんを思い出したけど、これはまた別の話。

僕がこの映画を観るのは、年齢的にちょっと早すぎたのかも。

(2002/01/21up)
<第3回リレーエッセイ予告>
次の人へのおすすめは、「大砂塵」
映画「セルロイド・クローゼット」で取り上げられた作品リストをチェックしていた ら、ニコラス・レイの監督作が3本も入っているのに驚いた。「理由なき反抗」でジ ェームズ・ディーンに憧れるサル・ミネオのエピソードは有名だけど、はて? そこ で、僕が次の人におすすめするのは、レイの「大砂塵」(1954)という映画。ベギー・ リ−の歌う「ジョニ−・ギター」というスタンダードナンバーを生んだ映画として知 られているけれど、これ、当時のハリウッド映画としては、女性が異様なくらい活躍 する西部劇なのです。男たちはすごく弱いの。この作品をクィア映画として扱うかど うかは別として、男っぷりのいいヒロイン像をレズビアンの方はどうみるのかなと、 ちょっと気になりました。
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