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「あなたの"other half"はどこにいる?」
>シネマデータ
written by ミヤタヒロシ
監督・脚本を担当し、主役のヘドウィグを演じるジョン・キャメロン・ミッチェルがこの映画の中心に据えたのは、プラトンの「愛の起源/Origin of Love」。それは、ヘドウィグが母から聞かされた物語として次のように語られる。

「人は元々2つの頭と4本の手・4本の足を持った、2人で1人の存在だった。しかし、神は知恵や力を身につけてゆく人間を憂い、その体を2つに分けてしまった。だから人は、失われた片割れ(other half)を求めてやまない」

自分の中に何かが足りないという感覚。完全で安らかな自分になるためには、いったい何を手に入れればいいのか。

ヘドウィグは不安と怒りをこんな風に歌う。

♪ヘドウィグは壁を打ち壊す!
♪奴隷と自由/男と女!

性別もセクシュアリティも国籍も関係なく、失われた片割れを求めてもがき続ける人々。

ベルリンの壁を超えてアメリカにやって来た、トランスセクシュアル(ドラァグクイーン?)・ロックンローラーなどという『特殊な人』に共感を覚えてしまうのは、彼女(あるいは『彼』と呼ぶべきか。映画の時間軸の中で、彼女は『彼』と『彼女』を行き来する)と『普通の私たち』が同じ孤独や不安を抱き、同じように苦悩しているからに他ならない。この映画では、彼女と『私たち』の見かけや背景が大きく異なることによって、彼女と『私たち』が同じであることがさらに明確に描き出される。

ゲイであることを公言しているジョン・キャメロン・ミッチェルは、ある雑誌のインタビューでこう答えていた。「ヘドウィグを演じることで、自分の中の女性性を受け入れることができた」 東京で大御所と言われる某ドラァグクイーンが、全く同じようなことを言っていたのを思い出す。

失われた片割れが自分の外側だけでなく、自分自身の内側に秘められている。それを見つけ出す強さと知恵を私たちは持っているのだと、信じることができる映画だ。
(2002/02/21up)
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