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「straight is great?」 >シネマデータ
written by iri
「チアーズ!」って映画知ってます? キルスティン・ダンスト主演、2つのチアリーダーチームの対決を描いたさわやか青春ストーリー。私はこの作品が劇場公開された時、タイトルから「GO!GO!チアーズ」かと勘違いして無邪気に喜んだものだった。
今回、レビューの依頼を受けて「GO!GO!チアーズ」の方は劇場未公開と知り、「な〜にやってんだよ、日本の配給業界」と思いながら、新宿ツタヤに行ってビックリ。「チアーズ!」が5本(吹き替えなし。細かい)の入荷に対し、「GO!GO!…」は22本(吹き替え2本含む)。
何? どういうこと? 「男の子の憧れ“チアリーダー” でも私たち“レズ”なんです!」という身も蓋もないキャッチコピーのせいか? ま、何はともあれ「チアーズ!」と間違えて「GO!GO!チアーズ」を借りた方、おめでとう。

さて、まずは簡単にストーリー紹介。主人公のメーガンはヘテロ女の象徴とでも言うべきチアリーダー。キスの下手(すぎ)な彼もちゃんといる17歳。しかし突然、両親、友達、恋人の極端(すぎ)な思い込みから「あなたはレズビアン」と告げられ、2ヶ月間の同性愛者リハビリ・キャンプに強制的に送り込まれるという、恐ろしいホラー…ではなくて、大げさパワー炸裂のコメディーなのである。

何しろ大げさ。両親達がメーガンを同性愛者だと決めつける理由も大げさだが、彼とキスをしながらチアリーダーの女の子達を想像しているメーガンも大げさ。そして施設からメーガンを迎えにやってきた「元」ゲイで、今は同性愛者がそれを「克服」する手伝いをしているというマイク(登場の衣装がイキナリ「straight is great」と書かれたTシャツ)、それから施設創設者のメアリー、その息子のロック(どう見てもゲイ?一足先に施設に入っていたキャラ立ちのお仲間さん。さらに同性愛を更生するための5つのステップに分けられたプログラム。すべてが大げさだが、だからこそのコメディーにうまく転がしている感あり。ちなみに聞く所によると、マイク役のルーポールは有名なドラァグ・クィーンシンガーらしい。ナイス(死語)な配役だ。

でも、アホなプログラムを一生懸命こなしながらも、やっぱりオネエがポロリと出てしまったり、ついつい欲望に負けそうになったりと、どうしても「自分」が出てきてしまう姿。両親と一緒のセラピーや隠れた味方である元施設脱走者のゲイ・カップルの存在。アホで軽くて笑って過ごそう、のノリだけど、一本、筋は通っている感じが好感を呼ぶ。ゲイ・カップルの家のまぶしすぎるレインボー色は相変わらずの大げさ度だが。

そしてそして、メーガンとちょっとひねくれ系で唯一「しっかりビアン」のグレアムとのラブね。ラブ。最初は反発しあう2人。優等生と劣等生。ベタすぎだぞっ! おいっ! でもこれがかわいいんだ、また。2人の接近がイキナリすぎる気もするが、いいさいいさ。私はグレアム派(聞いてない)。メーガンは最初その大げさな演技も含めてちっともかわいくないが(はっきり言い過ぎ)、グレアムとの接近後の表情はまあ良し(私、何様?)。

しかし、何と言ってもジュリー・デルピー。なぜ彼女がゲスト出演? その経緯は謎だが、やはり…美しい。施設からこっそりゲイミックスクラブイベントにやって来たメーガン達。そこでジュリー登場。先に言っておきますが、あんな人業界にはいません(断言)。そしてメーガンをダンスに誘う。最初は断わるのね。ぶっとばそうかと思った。ま、その後にグレアムとのいいシーンなので許したが。

こんなこと書いておりますが、観ていくにつれ、本当にメーガンはどんどんかわいくなっていきます。共感、好感。結局、リハビリ・キャンプで得たものは本当の「自分」。最後はあたたかい。もう、ベタベタだけど、いいさいいさ。「ビアンの目」で観てしまうとハッピーエンドに弱いのね。でもこういう作品がハリウッドで作られたんだ、ということが嬉しいのです。観終った後に、好きな子ととってもキスしたくなる作品なのである。
(2002/04/10up)
iri (第10回映画祭で、監督作「三秒の憂鬱」を上映)
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