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孤独な売り専ボーイの心の旅を、静かなタッチで描いた秀作。
□イケメンの売り専ボーイ、X(エックス)。16歳からこの仕事をしてきた彼にとって、愛やセックスは単に職業としての意味しか持ち得なかった。そんなXに、新たな顧客の老紳士が現れる。しかし彼は、ただXに心の内面を語らせるだけ。この老紳士との出会いが、Xの心境に少しずつ変化を与え始め…。
ストレートの伝統的なラブストーリーの登場人物を、ゲイに変えただけの作品以上の、もっと高いレベルに達していた…
■Q・アラン・ブロッカ監督からのメッセージ
■僕がこれまでに観たり、読んだり、自分で製作をしてきたゲイをテーマにした恋愛映画や小説は、ほぼストレートのカップルの恋愛構図をなぞったものばかりだったんだ。でも、この映画の原作を読んだとき、「お、これは違うな」と強く思ったね。それはこの作品が、単にストレートの伝統的なラブストーリーの登場人物を、ゲイに変えただけの作品以上の、もっと高いレベルに達していたからさ。この小説の登場人物はみんな、個性的な「男」ばかりだった。
■今回、小説を映画化するにあたって、僕はそれを単純に映画化して、伝統的な恋愛物語に近づけるという手法よりは、「男」の映画を作ることがより重要だと強く感じていた。「男」の映画と言っても、強盗を捕まえるために追いかけたり、戦争で戦ったり、お互いに殴りあったりと言うような映画ではなく、この作品の「男」達はお互いに恋をしてしまうのさ。そして彼らの関係がより複雑になっているのは、この作品に登場するどの男も、典型的なノンケ特有の問題を抱えているってことなんだよ。
■初めて原作を読んだとき、僕はすぐに主人公X(エックス)の心の声に強く魅せられた。そして彼は僕とすごく似ていると思うんだ。なぜなら彼には冷酷な皮肉屋的な部分と、どうしようもなくロマンチックな部分が奇妙に同居しているからね。その一歩引いたモノの見方は、人々の本質を鋭く見抜く売り専ボーイとしての経験と共に、彼に冷たく暗い影を落としている。そして彼はまた、感情を表さない自分を誇りに思っているんだ。
でも、彼は本心でもっと濃厚な付き合いを求めている。その願いは単に「ゲイの男」によっては満たされることがない。なぜなら「ゲイの男」というのは、「完璧」ではないからね。彼はその事を知っているから、愛に対して無感覚でいられたんだ。しかし、とうとう彼は欠点だらけのルームメートのアンドリューにひどく入れ込んでいる自分に気付いてしまうのさ。
■この2人がなかなか親密になれないのは、仲の悪い両親のせいでも、保守的な社会のせいでも、秘密の賭けのせいでもない。それは、彼ら自身が思っている「付き合う」とは何かということと、本当は互いに何を求めて合っているのか、という2点だけのことだよ。彼らは初めから、お互いに好意を抱いてはいるのに、伝統的なハッピーエンド的恋愛が、自分たちにも可能であるとは全く考えもしていないために、より深い仲になれないのさ。そんな彼らが直面している現実的で単純な障害物、つまり彼ら自身の存在そのものが、僕にとってこの作品をとてもエキサイティングなものに、そして同時に私的なものにしてくれたんだ。
Q・アラン・ブロッカ
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邦題:ボーイ・カルチャー |
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原題:Boy Culture |
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監督:Q・アラン・ブロッカ |
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製作国:アメリカ合衆国 |
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製作年:2006年 |
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上映時間:88分 |
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上映言語:英語 |
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上映字幕:日本語 |
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公式ウェブサイト:Go! [英語版] |
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上映歴:ジャパン・プレミア
上映歴:(日本初上映) |
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受賞歴: |
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Outfest映画祭 2006年審査員最優秀シナリオ賞 |
□ |
フィラデルフィア国際レズビアン&ゲイ映画祭 2006年審査員最優秀作品賞 |
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